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伝統工芸

〔香川漆芸×ブチェラッティ〕和洋の技が生んだ 唯一無二の“宝石箱”

2022.03.01

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4代続く名門「ブチェラッティ」


4代続く名門「ブチェラッティ」ミラノのブチェラッティ本店。昨年、東京・銀座に日本初の旗艦店もオープン。

今回の画期的な試みが実現した背景には、ブチェラッティ名誉会長、アンドレア・ブチェラッティさんの日本文化への深い関心がありました。

「日本の伝統文化と職人技術は大変魅力的です。世代から世代へ引き継がれる点はイタリアの文化と同じ。漆芸は昔から好きで、子どもの頃に父からもらった漆の箱は40年経った今も大切にしています。洗練された芸術だと思います」とアンドレアさん。


創業者の孫で名誉会長兼クリエイティブ・ディレクターのアンドレア・ブチェラッティさん(前列中央)ファミリー。右は娘で4代目となるルクレツィアさん。

熟練した職人が揃う工房。

香川漆芸 継承される技術


一方、「ブチェラッティは手仕事を大切にした素晴らしい会社。チャレンジ精神に火がつきました」と話すのは、香川漆芸の人間国宝、山下義人さんです。

山下義人さん 人間国宝 香川漆芸山下義人(やました・よしと)さん 1951年香川県生まれ。香川県立高松工芸高等学校漆芸科卒業後、人間国宝の磯井正美と田口善国に師事。77年日本伝統工芸展初入選。2007年紫綬褒章受章。13年重要無形文化財「蒟醤」保持者(人間国宝)認定。21年旭日小綬章受章。創作活動と後進の育成に情熱を注ぐ。

山下亨人やましたこうじん さん 香川漆芸山下亨人(やました・こうじん)さん 1983年香川県生まれ。国立高岡短期大学産業造形学科卒業。2019年日本伝統工芸展初入選。父・山下義人、木工作家宮本修山に師事。香川漆芸の未来を担う一人。

当初はジュエリーに漆芸の加飾を施す案もありましたが、作品の完成度の高さを目のあたりにし、宝石箱の制作を提案したといいます。

「ブローチを引き立てるため装飾は控えめにしましたが、シンプルすぎてもつまらない。香川漆芸の魅力を伝えるためにも、蒟醤の技法で加飾しました。中に何が入っているのだろうとわくわくしてくれたら嬉しいですね」。

香川漆芸の宝石箱色調の変化をもたらす微妙な彫りを施す。

香川漆芸の宝石箱刷毛で色漆を塗り、数時間後に金属粉を蒔くという工程を繰り返す。

香川漆芸の宝石箱ジュエリーボックスのために作られた鮮やかな色漆。「顔料の種類も増え、以前より自由に、たくさんの色漆を作れるようになりました」と山下義人さんは話す。

表面を研いで余分な色漆を取り除き、文様を出す。この後、仕上げに表面を磨いて完成となる。

完成した箱を見たアンドレアさんの感想は「とてもエレガント。イタリアの彫金細工と日本の漆芸の完璧な調和を感じます」。その言葉どおりの逸品が誕生しました。

ブローチ+ジュエリーボックス 限定各1組を販売いたします

「ブチェラッティ」のブローチと香川漆芸のジュエリーボックスのセットを各1組計2組、2022年3月1日よりブチェラッティ 銀座店にて販売いたします。単品での販売はいたしませんので、ご了承ください。詳しくはブチェラッティ 銀座店(電話:03-5537-3281)まで。

1.花のブローチ+青のボックス
242万4000円

香川漆芸の宝石箱

2.葉のブローチ+赤のボックス
176万4000円

香川漆芸の宝石箱

香川漆芸の宝石箱木箱の蓋は、表にブチェラッティと香川漆芸の名前、裏に監修と制作にあたった山下義人さんと亨人さんのサインがある。
表示価格はすべて税込みです。 撮影/Fumito Shibasak〈i DONNA〉 福家大介(制作工程、人物) スタイリング/MAFUMI 取材・文/清水千佳子
『家庭画報』2022年4月号掲載。この記事の情報は、掲載号の発売当時のものです。
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