新しいパリ物語 第8回(全11回) 2024年夏季オリンピックのメイン開催地となるフランス・パリ。活気づく街を牽引するように、新たに誕生したホテルやレストランは、これからの時代のキーワードを体現したものになっています。未来に向けた最先端のラグジュアリーの形を、いち早くご紹介いたします。
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【世界が注目するパリの最旬三つ星】「KEI」といえばまずこの「野菜の庭園」。ほんのりレモンの香りがする淡雪のようなムースの上下には約30種の要素が盛り込まれている。生、火入れしたもの、ピュレ、ドレッシングとなった野菜の一番おいしいところを、スモークサーモンの塩味とともにいただく。フレンチの王道にふさわしい新しい内装で三つ星のその先へ
アジア人シェフが率いる店として、史上初めてパリの三つ星を獲得した「KEI」。これからいよいよ世界のブランドとして発信してゆこうというタイミングでコロナ禍に見舞われ、休業を余儀なくされました。「料理を始めてからとにかく必死に攻め続けてきましたが、この期間にあらためて料理を見つめ直すことができました」と、小林 圭シェフは語ります。
オーナーシェフの小林 圭氏。120点のうち半分は新作という3冊目の料理本をはじめ、有名アーティストとのコラボレーションなど、三つ星のさらに先を志向するプロジェクトが進行中。そんな受難の時にあっても、数年前から進めていた大改装が完了し、静岡・御殿場のレストランが開店するなど、「KEI」の次なるステージへの進化が止まることはありませんでした。
2021年6月、現代の「鏡の間」を思わせるような新しいパリの舞台の幕が上がると、ウエイティングリストは途切れることがありません。
パリを拠点に世界的に活躍する建築家・田根 剛氏に設計を依頼した新しい店内。ヴェルサイユ宮殿「鏡の間」を彷彿させる夢空間。「心の薬になりたい」とも小林さんは言います。「コロナ禍で辛い思いをしてきたみなさんに対して、自分たちができることは何か。それはやはり、ここで思い出に残るようないい体験をしていただくこと。『フレンチのレストランはこうでなくては』と思っていただけるような店でありたいのです」。日々真剣勝負の厨房から、人々の記憶に残る料理が生まれています。
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レストランKEI Restaurant KEI
5 rue Coq Héron 75001 Paris
- 営業時間:12時30分~13時15分(LO)、19時45分~20時45分(LO) 定休日:木曜の昼、日曜、月曜 ランチコース85ユーロ~、ディナーコース170ユーロ~。
撮影/武田正彦 取材・文/鈴木春恵 ※1ユーロ≒131.19円(2022年1月5日現在) ※料金やメニュー等は変更になる場合があります。
『家庭画報』2022年3月号掲載。
この記事の情報は、掲載号の発売当時のものです。