HISAO NAKAMURA/a.collectionRF/amanaimages威風堂々。大地に聳(そび)えて母衣(ほろ)を打つ。
選・文=川上和人(鳥類学者)
言わずと知れた日本の国鳥である。ただし、これまでの日本の分類では、キジは日本固有種ではなく、大陸にいるコウライキジと同種とされてきた。
近年この分類が見直され、今年からは固有種と認められる予定だ。分類は時代により変わるものなのだ。
MITSUHARU YOSHIMI/SEBUN PHOTOキジは一夫多妻である。春、複数のメスが棲む広いなわばりを守るため、オスは目立つ場所でケーンケーンと高らかに鳴く。
侵入者には容赦せず、力強い足蹴りとともに立ち向かう。足の後ろに伸びた鋭い蹴爪は攻撃力の象徴だ。
Kouichi Sudou/SEBUN PHOTO周囲を威嚇し自らの優位を示すため、キジは翼をふるわせてドドドッと音を立てる。これが「母衣(ほろ)打ち」だ。桃太郎を魅了した闘争心が、今年も野山にこだまする。
『家庭画報』2022年3月号掲載。
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