藤野幸信さんが選ぶ「季節の贈り花」 今、この花を贈りたい! 「フルール トレモロ」オーナー 藤野幸信さんが“今贈りたい”おすすめの花をセレクト。その花を使った、新作ブーケ&アレンジメントをさまざまなバリエーションでお届けします。
記事一覧はこちら>> 3月の花「リューココリーネ」
白に青紫のラインが入る美しい花はリューココリーネの「ジャパンブルー」という品種。水色のニゲラや青く染めたアスチルベなど、春のブルーを集めたブーケで存在感のあるアクセントになっています。リューココリーネを加えて贈り花を上品に仕上げる
リューココリーネはヒガンバナ科の秋植え春咲き球根です。庭で咲いているのを見かける機会はあまりありませんが、切り花では昔から春の定番花として人気があります。
細い茎に咲く花は決して大きくはないのですが、清楚ながら華やかさもあり、大人っぽい雰囲気を感じさせます。この花を加えるとブーケやアレンジに気品が生じるので、贈り花のアクセントとして私はよく利用しています。
1月〜4月くらいまで出回りますが、さまざまな品種が豊富に揃うのは3月中旬くらいです。ちょうど別れと出会いの季節で、花を贈る機会が増えるので、ぜひ注目してみてください。
大のお気に入りの「ジャパンブルー」。くっきりしたストライプがとても美しく、市場に出ると必ずオーダーします。リューココリーネは千葉県からの出荷が多いのですが、じつは房総半島の中央部は知る人ぞ知る、球根の生産地。
チューリップやラナンキュラス、スイセンなどに比べるとメジャーとはいえないけれど、魅力ある球根を生産しているのがこの地域で、リューココリーネのほか、ネリネやリコリス、ダイヤモンドリリーなどの育種に関しては、世界的に有名なエリアでもあります。
リューココリーネをオランダから日本に輸入したのも、このエリアの老舗的存在である「三宅花卉園」さんで、以降、毎年のように新しい品種を生みだしています。白に紫のストライプがくっきり入る「ジャパンブルー」という品種は、見つけたら絶対に仕入れるほどのお気に入りですが、これも「三宅花卉園」さんから生まれた品種です。最近では「三宅花卉園」さんから球根を譲り受けて栽培を始める他県の農家さんも増えているので、美しいリューココリーネがさらに安定して出回るようになると期待しています。
リューココリーネは水あげがよく花も長く楽しめます。また、甘くさわやかな中にほんの少しスパイシーさを感じさせる個性的な香りも魅力です。
華奢な花なので1種のみではボリューム感は出しにくいものの、アクセントとして加えるとよく目立ち、存在感を発揮します。花名を知らない方も多いと思うので、贈られた方が「この美しい花は何?」と注目してくださることで、贈り花の印象がより強まってくれるといいなと思います。
下のフォトギャラリーから詳しくご覧いただけます。 藤野幸信/Yukinobu Fujino
広島駅からほど近い段原の骨董通りにある「fleurs trémolo」(フルール トレモロ)オーナー。広島大学大学院理学研究科生物科学専攻を終了後、花の道に進んだ異色の経歴。感動する花束を多くの人に届けたいという思いから、市場からだけでなく自ら生産者情報を入手してお気に入りの花を集める。何種類もの花を使ったブーケは、エレガントでナチュラル。著書
『大切な人への贈り花』も好評。
https://www.fleurs-tremolo.com 『人気フローリストが教える フラワーアレンジのデザイン&ヒント78 大切な人への贈り花』
誕生日、結婚記念日、ウエディングなど、78例のブーケ&アレンジメントを色別に掲載したオールカラーの大判の単行本。色別花図鑑コラムや全国の生産者データなどお役立ち情報やインデックスも充実。大切な人へ花を贈る際のヒントが満載です。