――時は幕末、謎の侠客一家が富士の裾野に作った無頼の街を舞台に、2人の青年が悪と自らの因縁に立ち向かう物語になるとのこと。劇団☆新感線の座付き作家・中島かずきさんが福士さんをイメージして書いたという、その青年の1人・秋津永流(あきつ ながる)は、どんな人物ですか?「永流は町医者で、医学のことには詳しいのですが、世間や人とは距離をとっている若者。人当たりはいいけれど、過去を背負っていて、孤独な人間という印象です。でも、宮野さん演じる口出し屋の草臥(そうが)と出会い、いろいろな人と触れ合っていくうちに、温かい心が芽生えていく。稽古でほかの登場人物と会話をする中で、台本を1人で読んでいたときには感じなかった永流の優しさというのもすごく感じています」
――相棒の草臥役は、宮野真守さん。福士さんの初舞台『髑髏城の七人』Season月の稽古で5年前に知り合って以来、親しくされているそうですね。「はい。やっと共演できるのがうれしくて。今日も稽古場で、周りのキャストの方たちに『本当にずっと仲が良いんだね』と言われました(笑)。年は10歳くらい違うのですが、宮野さんとは気が合うなと感じていて。僕のいたずらを受け入れて、突っ込み返してくれたりするんです。歌もお芝居も本当に素晴らしくて、見習いたいところがいっぱいです。最強のバディじゃないかと思っています」
――いたずらが好きなのは、子どもの頃からですか?「いえ、小さい頃は人見知りで、仲がいい友達以外とはしゃべれないような感じでした。変わったのは、この仕事を始めて、主演を経験させていただいてからです。特に映像作品では、主演の人次第で現場の空気が全然違ったりするので、自分はどう居るべきか?ということを考えるようになったんです。シャイで人見知りというのが理由で、コミュニケーションをとれないのは良くないなと。結果的に、それは本来の自分でもないということに気がつきました。たぶん、自分の中身をさらけ出したり、相手の中身を知ることが怖かっただけなんです。今は、隠すことなく本来の自分でいることで、相手も相手らしくいられるんだなと感じるようになりました」
初舞台の『髑髏城の七人』Season月<上弦の月>も劇団☆新感線の作品。宮野真守さんが主演を務めた『髑髏城の七人』Season月<下弦の月>とのW上演で、約3か月のロングランを走り切った。