ゴルフ中継で女性初の実況アナウンサーになって
新人の頃からアナウンス部の「ゴルフ班」に入れて貰い、トーナメント中継の仕事をしました。最初はスタートアナウンスと言う選手紹介から修業を積み、ラウンドリポーター、ホールアウト後のインタビューとステップアップさせてもらえるようになりました。 ゴルフ班の女性メンバーは私1人。当時、まだ少なかったゴルフ中継の女性アナウンサー。あるとき、先輩が「せっかくここまで来たんだから、女性初のゴルフ実況を目指せ!」と言って下さいました。 高音の女性の声は張り上げたときに耳触りだったり、パワフルさに欠けるという理由で、スポーツ実況には不向きとされていました。しかし、野球やサッカーと違い、ゴルフは比較的抑えたトーンで平気だし、私の声は低め。これならゴルフ実況ができるかもしれないと挑戦を決意をします! 2006年、南アフリカで開催されたワールドカップ女子ゴルフで実況デビューしたときの一枚。
そして、叱咤激励を受けながら南アフリカで開催された女子ワールドカップで遂に「実況デビュー」。しかし、そう簡単にうまくはいきませんでした……。語彙力、実況力の不足はもちろん、女性の声は違和感がある、物足りないなど、視聴者からの声が局に届きました。へこみましたが、わざわざ電話やメールで伝えて下さるなんて有難いことです。沢山の先輩に実況ビデオを見てもらい、反省と研究をし、「男性アナの真似をするのではなく、女性アナの良さがいきる実況を考えよう」と試行錯誤を重ねました。すると、「解説者と女性アナウンサーの笑い声が聞こえてきて、とても楽しそうなお喋りが良かったです」と、少しずつ励ましの声も頂けるようになりました。 日本テレビには、沢山の素晴らしい先輩後輩アナウンサーがいます。その中でナンバーワンにはなれないけれど、only oneのアナウンサーになりたいと思っていました。私にとってそれが「ゴルフ」でした。ゴルフ中継に精進してきたことは、私にとっての自信と誇りになっています。さて、そんなふうにゴルフ中継を担当し続けてきたおかげで、多くのプロゴルファーの方とお話しするチャンスもありました。 次回は、憧れの女子プロゴルファーの方に、お話を伺います! 新人時代に、あまりに雲の上の存在で、オーラがあり声をかけることすらできなかった方です。 山下美穂子/Mihoko Yamashita
フリーアナウンサー
東京都生まれ。慶應義塾大学 文学部 美学美術史学科卒業。大学時代は体育会ゴルフ部に所属し、主将を務める。ベストスコアは79。2000年日本テレビに入社。アナウンサーとして報道やスポーツを担当し、ゴルフ中継で女性初の実況を担当する。2016年末にフリー転向。現在は、ゴルフなどのスポーツイベントをはじめ、多方面にて活躍中。