ミュージカルの極意「魔法にかかったような夢の時間」
『メリー・ポピンズ』は幼い頃からジュリー・アンドリュース主演の映画を何度も観ていました。壊れかけていた家族がメリーの不思議な力によって大切なことを発見しながら再生していく、愛のあふれる物語。
イリュージョンもたくさんあるので舞台化は難しいだろうなと思いつつ、いつか劇場でこの作品を観られることをひそかに願っていました。
満を持して舞台化されることになり、ニューヨークまで行って観劇しましたが、その素晴らしさには度肝を抜かれましたね。その後、日本初演に向けてオーディションがあると知ったときは、どんな役でもいいから出演したい! という思いで受けました。
こうしてバードウーマンとミス・アンドリューの2役で参加させていただけることになり、夢のような時間を過ごさせていただきました。
ミス・アンドリューはディズニー作品で描かれる象徴的なヒール役で、怖ければ怖いほど盛り上がる存在です。古い考えに囚われ厳格すぎる彼女は、知的で魅力的で軽妙に教育をしていくメリーと敵対します。
一方でバードウーマンはメリーとは遠い昔からの旧友のような存在。メリーとともに大切なことを子どもたちに伝えていきます。両極の2役への挑戦は女優冥利に尽きます。
素晴らしい名曲が詰まっているところもこの作品の魅力です。
「鳥に餌を」という曲は、もともと大好きで自分のコンサートでも歌わせていただいていましたが、実はこの曲はウォルト・ディズニーさんがいちばんお好きだった曲だそうで、その名曲をディズニー作品の中で実際に歌えることに毎回感動していました。
『メリー・ポピンズ』はまさにミュージカルの醍醐味が満載の作品です。再演を通してより深いものをお届けできたらと思います。
島田歌穂(しまだ・かほ)
東京都出身。1974年に子役でデビュー。1982年にミュージカル『シンデレラ』で初舞台。1987年にミュージカル『レ・ミゼラブル』のエポニーヌ役で脚光を浴び、2001年までのロングラン公演に参加。その回数は1000回を超えた。同作の世界ベストキャストとして英国王室主催の御前コンサートに出演。近年は『ビリー・エリオット』、『メリー・ポピンズ』、『ナイツ・テイル―騎士物語―』といったミュージカルの大作の日本初演に出演し、好評を博した。大阪芸術大学教授。
ミュージカル『メリー・ポピンズ』
5部門のアカデミー賞を受賞した不朽の名作映画を舞台化した作品。プロデュースを手がけたのはディズニーと『レ・ミゼラブル』などの傑作を生んだキャメロン・マッキントッシュである。「チム・チム・チェリー」やメリーの魔法の言葉である「スーパーカリフラジリスティックエクスピアリドーシャス」などの名曲が満載。圧巻のダンスシーンや魔法がしかけられた舞台セットなども楽しめる。出演はメリー・ポピンズ役に濱田めぐみ、笹本玲奈、バート役に大貫勇輔、小野田龍之介ほか。
東急シアターオーブ~2022年3月25日(プレビュー公演)
S席1万2500円(全席指定)ほか
2022年3月26日~5月8日(本公演)
S席1万4000円(全席指定)ほか
ホリプロチケットセンター:03(3490)4949
URL:
https://marypoppins2022.jp/※大阪公演あり
※この情報は、掲載号の発売当時のものです。最新情報は公式サイト等でご確認ください。 表示価格はすべて税込みです。
撮影/石田 航 構成・文/山下シオン
『家庭画報』2022年4月号掲載。
この記事の情報は、掲載号の発売当時のものです。