更年期の不安を小さくするには？専門医に聞く、更年期のよくある悩みと対策法

教えてくれたのは…
高尾美穂さん（たかお・みほ）産婦人科専門医。イーク表参道副院長。「すべての女性により良い未来を」をモットーに幅広く活動中。著書に『いちばん親切な更年期の教科書【閉経完全 マニュアル】』他。

“前向きな選択”を重ねて 更年期の不安を小さく！

不安や悩みを抱きがちな更年期。原因や対策を知るだけで、心も体もラクになるケースがあります。

「更年期は文字通り、ただの『時期』を意味し、誰もが迎えます。更年期の始まりは、閉経してからさかのぼって初めてわかるものです。検査をしないと不調の原因が更年期のエストロゲンの変動なのか、加齢性の変化なのか、はたまた生活習慣なのか、言い切れません」と産婦人科医の高尾美穂さん。


まずは大きな病気がないかを健康診断などでふるいにかけることが大事。今の時代は更年期の不調に対し、さまざまな選択肢があります。

「日ごろの生活習慣を見直すのも選択肢の1つ。『ホルモン補充療法』（※後編で詳しくご紹介）など保険対応の治療もあるので、前向きな選択をしていきましょう。自分は対策をしていると思うだけでも、不安は小さくなります」

よくある更年期の悩みと対策法を、ぜひ参考にしてみてください。

これって更年期？予測は可能？…よくある疑問や悩みを聞きました

Q
40代になって生理不順に……。これって閉経間近のサイン？

A
更年期のもっともわかりやすいサインが生理のばらつきです
生理の乱れは、更年期にさしかかっているというわかりやすいサインです。卵巣の機能が低下すると、卵巣から分泌されるエストロゲンの分泌量が減少し、生理周期がばらつきます。12力月生理がなければ閉経したとみなします。

Q
仕事や家事に対して集中力が続かないのは更年期だから？

A
日常を振り返って集中力低下の原因を探して

更年期だからといって、誰もが集中力が低下するわけではありません。ほかの理由も探してみましょう。多いのは、睡眠不足。脳内に蓄積されるたんぱく質の一種「アミロイドβ」は、健康な人の場合、睡眠をとることで減少します。しかし、睡眠不足により脳内に残って変異すると徐々に脳を萎縮させ、アルツハイマー型認知症を引き起こす原因となります。

Q
更年期を予測することはできる？

A
女性ホルモン検査である程度は予測可能
婦人科で血液検査をし、エストロゲンの中でもっとも強く作用するホルモン「エストラジオール（E2）」と、「卵胞刺激ホルモン（FSH）」の値を調べます。FSHはE2を含むエストロゲンを分泌させるために働き、卵巣機能が低下していると値が上がります。そのため、加齢とともにE2の値が低くなり、FSHの値が高くなると閉経が近づいている目安に。

※後編では、ホルモン補充療法や、日常生活での注意点などをお伝えします。後編を読む＞＞