日日是“笑”日(にちにちこれしょうじつ) 女優の
柴田理恵さんが綴るきもの日記。きもののリメイク術から、愛犬との心温まる暮らし、得意の料理など、笑顔あふれる日常をお送りします。
記事一覧はこちら>> 日本の各地から待ち焦がれていた桜の便りが届きはじめました。春爛漫の陽気で、まさにきもの日和ですね。こちらの連載はいったん終了しましたが、私のきものリメイクはとどまるところを知らず! 最近お気にりのきものリメイクを紹介させていただきます。
目指すは、きものリメイクの伝道師
こちらは、テレビ番組出演の楽屋前のワンショット。今年の2月に『徹子の部屋』(テレビ朝日系列)に出演した際の着こなしです。番組の中でも、私の「もったいない精神」から生まれるリメイクの楽しさを伝えさせていただき、黒柳徹子さんにもリメイクきものを随分と褒めていただきました。オホホホホ……。
昨年の秋には『趣味どきっ!』(NHK)でも、きもののリメイク企画に呼んでいただき、今や目指すはリメイクの伝道師! きものを誂えることは、どんな時代でもちょっぴり贅沢なこと。それぞれの世代の女性たちが思いを込めて仕立てたアイテムが、縁あって私の手元に届いたものは、小さな端裂でさえも無駄にしたくありません。譲られたきものの扱いを、どうすべきか迷っている方たちにとって、私のリメイク・アイディアが少しでもお役に立てたらと思っています。
番組に出演した際のきものは、上前に祖母の黒字の小格子柄を、下前には祖父の茶地の横段模様を用いて、片身替わりに仕立てた“夫婦(めおと)御召”。帯は、伯母の花嫁衣装だった振袖の優雅な袖の部分をリメイク。きりりとしたメンズライクな御召を、扇面に御所車や吉祥文様を散らした意匠が王朝の物語を感じさせます。
「きものや帯にハサミを入れるなんて、もったいない」と思われるかもしれませんが、それらが箪笥の肥やしになるほうが「もったいない!」というのが私のセオリー。余った裂をどんなものに活用しようかと、想像するのも一興です。
大正から昭和初期にかけての華やぎが色濃く表れた典雅な文様。 喪服だって、リメイクに活用します
こちらは、黒地の部分がなんと喪服! 今どきは弔事の際にも、和装の喪服はなかなかハードルが高いですよね。そのため、譲られた喪服を処分しようか考えあぐねている方も多いのでは。黒は究極の最後の色といわれ、染め替えができないため、私は切り嵌めでリメイクしました。縞模様の御召と交互に配したら、こんなにもメリハリの効いた仕上がりに。
広げると、遠目には大胆な縞模様のように見えます。夏が待ち遠しい、涼やかなリメイク
こちらは、まだ袖を通していない新作リメイク。鮫小紋や青海波、七宝繋ぎから小花まで、多彩な型を割りつけた洒脱な絽の江戸小紋と、無地の絽縮緬を片身替わりに。スモーキーな色合いが涼やかな印象を醸します。最初にご紹介した夫婦御召もしかり、片身替わりのリメイクの場合、色のコントラストを強くし過ぎず、濃淡のワントーンにまとめると小粋なデザインに仕上がります。
最後に、我が家の愛犬・晴の輔の近影を。
今年の春で2歳を迎えますが、今や体重は30㎏以上! 立派な少年犬に成長しました。
連載が本になりました!
柴田理恵さんのきものリメイクのエピソードをはじめ、故郷・富山県八尾町のお気に入りスポットや家族の物語を綴った書籍『柴田理恵のきもの好日』(平凡社)が2022年3月25日に発売されました。譲られたきものを自分らしく、スタイリッシュに、楽しく着こなすアイディアが満載です。
詳しくはこちら>> 撮影/岡積千可 スタイリング/石田節子 着付け/長谷川裕子 ヘア&メイク/光倉カオル 取材・文/樺澤貴子