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祝・国民栄誉賞! 羽生善治竜王の竜王就位式特別リポートVol.4

2018.01.25

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同日、竜王戦ランキング戦各組優勝者の表彰も行われました。右から、1組・松尾 歩八段、2組・稲葉 陽八段、3組・村山慈明七段、羽生竜王、4組・佐々木勇気六段、5組・増田康宏五段、6組・藤井聡太四段に、それぞれ優勝メダルが贈呈されました。

【こぼれ話、其の一】
羽生竜王が達成した「永世七冠」のすごさとは


将棋に詳しい方なら、それがどれほど難関で、ありえないくらいの偉業なのかお分かりだとは思いますが、あまりご存じでない方は凄いということは分かっても、いま一つ理解しきれないという声も聞きます。将棋関係の方とお話をしていて、私自身とても分かりやすいと思ったのが以下の説明でした。


将棋界では、①竜王、②名人、③王位、④王座、⑤棋王、⑥王将、⑦棋聖という7つのタイトル戦が毎年(毎期)行われてきました。2017年から叡王戦が加わったので今後のタイトル戦は8つに。2018年3月~5月の決勝七番勝負にてタイトル戦昇格後、初の叡王が決定します。

初めて羽生竜王がタイトルを獲得したのは、1989年の竜王位でした。それから2017年までの29年間において、7つのタイトル戦で優勝した棋士は総勢209人(1994年まで棋聖が年2回行われていたため)。そして、いま、羽生竜王は通算99期のタイトルを獲得しています。

つまり、29年間に存在する209人のタイトルホルダーのうち、99人が羽生竜王なのです! 顔写真を貼り出したら、ほぼ半分が羽生竜王(笑)。

そして47歳の今期、竜王のタイトルを奪取。どれだけ圧倒的な存在か、分かりますよね。加藤一二三九段に以前インタビューさせていただいたとき、「羽生さんはね、将棋界の覇者なんですよ」とおっしゃっていたのも至極納得です。

宇宙から来た将棋星人と呼ばれるゆえん


将棋界に君臨し続ける羽生竜王はこの29年の間に、永世名人、永世王位、名誉王座、永世棋王、永世王将、永世棋聖の資格をすでに獲得していました。

唯一持っていなかった永世資格が、今回手にした「永世竜王」。現役引退後に名乗ることができる永世竜王の称号を得る資格を手にするには、竜王戦で連続5期勝ち続けるか、通算7期タイトルをとることが条件とされています。

羽生竜王は、竜王タイトルを通算6期まで重ねていたものの、竜王戦で特に圧倒的な強さを誇る渡辺 明竜王(当時)に2008年、2010年と退けられて以来、なかなか挑戦機会に恵まれませんでした。

前年のタイトルホルダーは最後の決戦であるタイトル戦で登場してきますが、挑戦者になるには160人以上の棋士たちとの予選ランキング戦、そして本戦トーナメントをあわせて10対局前後勝ち上がって、その場に辿りつかなければなりません。

めまぐるしく戦術も変わり、若手の強豪が何人も台頭してきている今の将棋界において、挑戦者の切符を獲得することは、羽生竜王をもってしても、そう容易なことではありませんでした。

そして、7期ぶりに到来した竜王、永世七冠獲得へのチャンスを逃すことなく、今回勝ちきったわけです。

人間離れした偉業を数々打ち立てていることから「宇宙から来た将棋星人」(笑)とも評されるだけあり、ここぞ!というこの七番勝負での試合運びはさすがでした。ひとつ獲得するだけでも困難な永世称号を7タイトルすべて手にする「永世七冠」の実現。常識では不可能に近いけれど、もしできるなら羽生竜王しかいない。そう言われ続けてきた「夢」を現実に成し遂げてしまったその偉大さたるや! ちなみにタイトル戦ではありませんが、NHK杯でも通算10回の優勝を達成し、名誉NHK杯の称号をただ1人獲得しています。


来賓として祝辞を述べたのは、将棋好きで知られる俳優の東出昌大さん。2016年に公開された映画『聖の青春』では羽生竜王の役を演じました。「役づくりのために、棋士仲間や将棋連盟の関係者を取材しましたが、皆さん口を揃えていうのが羽生先生のことを“神様のような人”だと。羽生先生を演じるなら、僕も本当に心血を注いでやらなければいけないなと思った次第です」。
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