タイトル獲得数の上位3人は羽生竜王の99期、大山康晴十五世名人の80期、中原誠十六世名人の64期。棋界初、前人未到のタイトル100期がいつ訪れるのか、要注目です!【こぼれ話、其の二】
カメラマンも感激する、謙虚で優しいお人柄
『家庭画報』1月号取材時はまだ竜王位の獲得前でしたが、将棋界、そして日本、いえ世界において、羽生竜王がいかに偉大な存在かということをレクチャーしすぎたせいでしょうか。撮影前、坂本カメラマンはたいそう緊張していたそうです。すみません(苦笑)。
スケジュール管理も完璧な羽生竜王
そんななか、お一人でふらりと撮影現場の将棋会館へいらした羽生竜王。将棋界ではタイトルホルダーであっても、基本的にマネージャーさんはいらっしゃいません。最初の窓口は将棋連盟ですが、取材を受けていただけることになった場合、そのあと細かいやりとりが必要なら連絡も直接になります。週に1〜2度の対局があるうえ、羽生竜王ともなれば、多数の取材申し込みがあるはず。
それを全部ご自分で目を通されてやりとりされるとは、いったいどれだけの処理能力なのでしょう……。やはり、脳の構造が規格外な気がします。中村太地王座のことを「彼はあらゆる面ですごく秀でていて全般的なバランスもいいので、どの世界に行っても絶対にうまくやっていける人なんですよ!」と評していましたが、羽生竜王ももし違うお仕事をされていたとしても、その記憶力、思考力、判断力できっと君臨なさっているのではないでしょうか(笑)。
棋士仲間からも全幅の信頼を寄せられて
加藤九段曰く「将棋界の覇者」でありながらも、物腰柔らかく接してくださるそのお人柄に坂本カメラマンの緊張もほぐれ、インタビューの様子を横で見ながら笑い声まで上げるほど。「あれだけの立場にいらっしゃるのに、構えることも偉ぶることもなく、さすが人格者だね」と感心しきりでした。
佐藤天彦名人が羽生竜王のことを「圧倒的な存在なのに、性格的に透明感がおありなんです」と話されていましたが、ご自分が敗局された直後の大盤解説で周囲には気落ちする様子も見せず、積極的にお手伝いをなさる姿をお見かけします。「羽生将棋」の魅力だけでなく、そういった謙虚で誠実な人間性もファンの皆さんに愛され、尊敬されるゆえんなのでしょう。
子どもたちへの優しい眼差し
そして、就位式や祝賀パーティなどでの羽生竜王を拝見して感じていたのですが、小学生や中学生といったお子さんたちへの眼差しがいつもとても優しいですよね。
先日の竜王就位式にて、花束贈呈の役割で登場した竜王アカデミー代表の女子生徒さん。超満員の会場の壇上に上り、最初はちょっと顔がこわばっているようでしたが、記念写真を一緒に撮影する際、羽生竜王から笑顔で一言二言話しかけられたあと、彼女の緊張が少しほどけたように見受けられました。ご家庭での優しいお父さんの一面が垣間見えた一瞬でした。
本誌にも書きましたが、指がすっと長く、白くてきれいな手をしている羽生竜王。棋士の皆さんに“美指”の持ち主が多いように感じるのは気のせいでしょうか(笑)。