診断にはさまざまな検査が行われる
診断には、関節リウマチ特有の所見を探すとともに、ほかの自己免疫疾患や変形性関節症などの病気を除外するため、多くの検査が行われます。
血液検査では抗核抗体検査のほか、リウマトイド因子(RF)、抗CCP抗体の有無、炎症の度合いなどを調べる検査が行われます。
超音波、静脈撮影、CT、MRIなどの画像検査で関節の状態をみるほか、関節液を採取して検査することもあります。
リウマトイド因子の血液検査
健康診断や人間ドックでは血液検査でリウマトイド因子(RF)の測定をオプションで選べる場合があります。
リウマトイド因子は膠原病や肝臓の病気など関節リウマチ以外の病気でも上がることがあり、この因子の数値が高いからといって関節リウマチとはいえません。
「リウマトイド因子は、やや高くなってから、手のこわばりなどの症状が出てくるまでは10年間ほどといわれています。リウマトイド因子が陽性で関節の痛みや腫れ、動かしにくさなどを自覚しているならば、まずは関節リウマチの専門医の診察を受けましょう。関節に自覚症状がない場合には関節リウマチの素因があると考えて、関節の症状に注意していただければと思います」と川人先生。
一部の人間ドックで検査されている関節リウマチ特有の抗CCP抗体検査でも同様です。
薬による治療が主体で、自分でケアすることも必要
症状があり、関節リウマチであることが確定すると薬物治療を開始します。
最初に処方されるのは、いわゆる抗リウマチ薬(従来型合成疾患修飾性抗リウマチ薬)です。免疫を抑制・調整する薬で、いずれも内服薬です。
このうち第1選択薬となるのが免疫抑制薬のメトトレキサートです。この薬は効果が高く、比較的安価な一方で、感染症、リンパ腫などの副作用に注意が必要で、処方後は経過を細かくみていきます。
「早期の場合には効果も副作用もマイルドな別の抗リウマチ薬を使うことがあります」。
次に使われるのが生物学的製剤です。免疫を司る物質に働きかける薬で、多くの種類があり、自己注射や点滴で体内に入れます。
「進行の速い患者さんには有効です。そのなかでTNF阻害薬は、メトトレキサートとの併用が効果的です」。
感染への注意が必要で、薬価が高いことがデメリットです。
2013年に登場したヤヌスキナーゼ(JAK)阻害薬も処方されるようになっていますが、免疫力を下げ、帯状疱疹や感染症などのリスクがあるため、慎重に使われます。
ステロイド(副腎皮質ホルモン)や骨粗しょう症の薬である抗RANKL抗体も補助的に処方されます。
関節リウマチの治療目標は、症状が和らぎ、痛みや変形、生活の不便さが進行しないこと(寛解)です。その先には薬の減量があります。
「生物学的製剤を使わなくなると半数以上が悪化したという報告があり、薬は減量しても完全にやめられるケースは少ないですね」。
関節の変形が進んでいる場合には、手術をすることもあります。また、湿疹ができやすい患部の保湿、変形に合わせた靴などの装着、感染対策など自分でケアすることも必要になります。
「運動やリハビリテーションの種類や回数等は医学的には結論が出ていません。ただ、関節を動かさないとさらに動きが悪くなるため、症状に応じて翌日痛みが残らないくらいの範囲で動かすことをおすすめしています」。
関節リウマチは長いつきあいになる病気で、患者会も頼りになります。日本リウマチ友の会は各都道府県に支部があり、治療法などを学び、患者同士で悩みを相談し合えるような機会を設けています。
関節リウマチの主な治療法
●薬物療法
抗リウマチ薬、生物学的製剤、低分子量分子標的薬(JAK阻害薬)、ステロイド、非ステロイド性抗炎症薬などを症状や体質、副作用の出方などをみながら調整して使う。
●手術
変形が強く、動かしにくい関節を手術する。腱の移行や移植、関節の固定、人工関節への置換などが行われる。
関節リウマチの診断・治療の専門医
●日本リウマチ学会 リウマチ専門医・指導医名簿検索URL:
http://pro.ryumachi-net.com
関節リウマチの患者支援団体
●日本リウマチ友の会URL:
http://www.nrat.or.jp/