お味噌知る。(後編) 土井善晴さんの近著『お味噌知る。』は、一汁一菜を提唱する土井さんが、長女の光さんとともに土井家のとっておき味噌汁&味噌レシピをまとめた一冊。 味噌を知ることで無限に広がるお味噌汁の世界へ、この時季ぜひ作りたい春のレシピとともにご案内します。記事の最後には
本書のプレゼント企画もございます。ぜひご応募ください。
一人分食べ切りのお味噌汁の作り方前編では、【基本の味噌汁】の作り方と、「筍とそら豆の味噌汁」のレシピをお届けしました。
後編では、たくさん種類があって迷う味噌の選び方、そして春の味噌汁としておすすめしたい独活(うど)汁のレシピをお届けします。
味噌の選び方
子供の頃から慣れ親しんだお味噌を基本にすればいいですが、もしなければ、伝統的な昔ながらの製法で造られた米味噌(赤味噌)をまずは選んでください。
見た目には、味噌の「冴え」と言いますが、濁りのないもので透明感のあるものを選んでください。それは後口のよい、すっきりとした味噌です(値段の安い味噌には、新技術でひと月ほどで造るなど、極端にコストを抑えたものもあり、本来の価値のないものもあるので、ご注意ください)。
合わせ味噌
味噌は一種類をそのまま使っても、ブレンドして数種類を合わせて使ってもいいのです。一般的に、夏場は甘みが少ないものが好まれ、冬場は甘みの強いものが好まれるようです。
赤い米味噌を基本にすれば、気温が下がると白味噌を混ぜて色を白っぽくします。いつもの味噌汁にとろみがついて、温まります。暑い夏場は、豆味噌を混ぜてもいいですが、味噌屋でブレンドして調えた「赤だし味噌」が売られています。
また、パックに少し残った味噌なども、ほかの味噌に混ぜて使い切ります。
独活(うど)汁
春の山に入れば、山独活が見つかります。山に持参した鯖の缶詰と、斜めにぶつぶつと切った独活を鍋に入れて水で煮ます。アクのある山菜は鯖缶とよく合います。山で育った、山が大好きな新潟の人に教わりました。
季節になると地方の市場には山独活が出ています。また、畑で栽培した山独活は、都心部のスーパーに売られています。
材料(4人分の目安)山独活1本( 約270g)、鯖の缶詰1缶( 内容量200g)、水3カップ、赤味噌50g
※表記している1カップは200㎖、大さじ1は15㎖、小さじは5㎖です。
作り方山独活は根元の木の根っこのようなところは削り落としますが、ほぼ全部食べられます。
斜めぶつ切りにして鍋に入れ、水を入れて、鯖缶を缶汁ごと入れて、中火にかけて、独活が少し柔らかくなるまで煮ます。
硬さを確かめて味噌を溶き、しばらく馴染むまで煮ます。
独活には10分くらいで火は入りますが、さらに長く煮ると、もっと柔らかくなります。
【調理のポイント】・多めに作って、翌日温め直し、お蕎麦にかけて食べることもあります。こうした山菜や野菜の具沢山の汁をかけるお蕎麦の食べ方を長野では「おにかけ」と呼んでいます。
一人でも、家族でも。『お味噌知る。』で日々の土台を作る
長年、食の世界に携わってきた土井善晴さんは、「料理には自分や家族を守る力、命を育む力がある」と語ります。
『お味噌知る。』では、味噌汁のレシピに加え、発酵食品である味噌にまつわるコラムや、味噌汁を軸に語られる料理と暮らしのエッセイを収録。
春から自立して一人暮らしを始める方、家族のために日々の料理を作っている方、なんとなく暮らしを整えたいと思っている方、すべての人におすすめの一冊です。
『お味噌知る。 』
土井善晴、土井光 著
■定価 1760円(税込)
■発行 株式会社世界文化ブックス
■発行・発売 株式会社世界文化社
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土井善晴(左)・料理研究家
料理研究家・土井 勝の次男。「おいしいもの研究所」代表。十文字学園女子大学特別招聘教授、甲子園大学客員教授、東京大学先端科学技術研究センター客員研究員。著書に『一汁一菜でよいという提案』『くらしのための料理学』『土井善晴のわが家で和食全101巻』『土井善晴の素材のレシピ』『料理と利他』など多数。
土井光(右)・料理研究家
料理研究家・土井善晴の長女。在仏歴7年。2018年より「おいしいもの研究所」在籍。料理講習会のフランス語通訳やフランスと日本文化を繋ぐイベント参加なども行う。本書が初の共著となる。
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