うどと木いちごの酢のもの、うどと春菜の酢味噌和え
ぽかぽかした陽気になり、美しい自然を満喫できる山登りやハイキングに出かけたくなりますね。野原や山を歩いている時、赤くてかわいい野いちごを見つけたことはないでしょうか? 「
山菜・春菜の天ぷら」でもお話ししましたが、六雁には日本中から天然の山菜や木の実、きのこなどが届き、これからの時季は野いちごがやってきます。有名なところではクサイチゴ・ナワシロイチゴ・モミジイチゴ・ヘビイチゴなどがあり、非常に種類が豊富です。
野いちご(野山に自生し、いちごのような実をつける植物の総称)はラズベリーやブラックベリーと同様、キイチゴ属に分類されます。ラズベリーやブラックベリーよりも小さく、酸味や甘みが少なく、りんごに似た味で種の弾けるような食感が楽しめます。木いちごは名前のとおり「木になるいちご」を意味し、1つの果物を指すのではなくバラ科キイチゴ属の総称で、小さな粒がたくさん集まり1つの実を形成します。
野いちごは入手が難しいので、今日はラズベリーを使って、うどの酢のものを風味豊かに仕上げます。ラズベリー(フランス語でフランボワーズ)は「ヨーロッパ木いちご」とも呼ばれ、日本で最も親しまれている木いちごです。アメリカやニュージーランドなどから輸入され、常に出回っています。冷涼な土地を好むため、国産のものは北海道など涼しい地域で栽培され、初夏から晩夏にかけての時期にしか出回りません。直径1~2cmほどで表面には産毛が見られ、実の色は赤・黒・紫と様々。実の中が空洞で、柔らかく生食向きです。果汁が多く、さわやかな甘酸っぱさが特徴で、最近は甘さの強いものも出てきました。
ラズベリーって何語? 木いちご(笑)。今日も野菜料理を楽しみましょう。
ちょっとしたコツ
・「うどと木いちごの酢のもの」は、野菜料理をおいしくする7要素中6要素を取り入れている。
◎旨み ◎塩分 ◎甘み ◎油分 ◎食感 ◎香り 刺激
・うどは太い茎、茎をむいた皮、枝、穂先に分け、下処理して料理する。
・うどは風味を大切にし、食べる直前に切りさっと洗って使う。
・食べる直前にドレッシングで和える。
・「うどと春菜の酢味噌和え」は、野菜料理をおいしくする7要素中6要素を取り入れている。
◎旨み ◎塩分 ◎甘み ◎油分 ◎食感 ◎香り 刺激
・時間の経過とともに水っぽくなることを防ぐため、具材と酢味噌は食べる直前に和える。
・うど、長いも、花丸きゅうりの食感の違いと、3つが合わさった際の風味、粘り、甘みが織りなすおいしさを楽しむ。
「うどと木いちごの酢のもの」(左)
【材料(2人分)】・うど(茎の部分) 15cm(スライスして約50g)
・ラズベリー 2〜3個
・松の実(香ばしくいる) 10〜12粒
・ドレッシング 小さじ2(好みで)
作りやすい分量:オリーブ油小さじ1、ラズベリービネガー大さじ1、塩3g
・穂じその花 少々
【作り方】1.うどは3cm長さに切り、厚めに皮をむく。2mm厚さに縦にスライスし、水でさっと洗ってクッキングペーパーで水気を除く。
2.ラズベリーは指で3〜4つにちぎる。
3.ドレッシングを作る。ボウルに塩とラズベリービネガーを入れて泡立て器でよく混ぜる。オリーブ油を少量ずつ垂らしながら、泡立て器で混ぜて乳化させる。
4.別のボウルに、うどとラズベリー、松の実を入れ、好みの量のドレッシングを加えて和える。器に盛って穂じその花とつぼみを散らす。
「うどと春菜の酢味噌和え」(右)
【材料(2人分)】・うど(茎の部分) 8〜10cm(25〜30g)
・長いも 2〜3cm(約10g)
・花丸きゅうり(きゅうりの小さなもの) 1本
・はっさく 1〜1.5房 ※ラズベリー2個に替えてもよい
・みょうが甘酢漬け(外側の大き目の皮) 4枚
「
みょうがの甘酢漬け」参照
・バジルスプラウト 少々
・ピスタチオ(ローストしたものを刻む) 適量
・酢味噌 大さじ1(好みで)
玉味噌(白) 30g (作りやすい分量:西京味噌500g、卵黄5個、砂糖30g、日本200cc。
「
生姜味噌」参照)、レモン果汁小さじ1/2、 酢小さじ1/4
【作り方】1.うどは厚めに皮をむき、縦に半分にしたものを乱切りにする。水でさっと洗ってクッキングペーパーで水気を除く。
2.長いもは皮をむいて、1のうどと同じくらいの大きさに切る。水でぬめりを洗い流し、クッキングペーパーで水気を除く。花丸きゅうりもうどと同じくらいの大きさに乱切りにする。
3.はっさくは皮と薄皮をむいて、実を粗めにほぐす。
4.ボウルにうど、長いも、花丸きゅうり、はっさく、ピスタチオを入れて混ぜる。酢味噌を好みの量加えて和え器に盛る。バジルスプラウトとみょうがの甘酢漬けを添えて供する。
私たちプロの料理人の中には、色や見た目を味より重視する者もいます。薄味信仰?なのか、本当は少し濃いめの味にしたほうがおいしいものでも、それは恥と、濃いめの味つけを避けます。また、味を素材にしっかりと含ませることがプロの料理と、無理に味をつけなくてもおいしい素材に味をつけて台無しにしてしまうこともよくあります。何より、皆さまがおいしいと思う味にしてください。人の味の好みは様々です。ご自身・ご家族の好み、体調に合わせた味に調整しましょう。レシピに示す調味料などの分量は一例に過ぎません。注目していただきたいのは素材の組み合わせと料理手順、どんな調味料を使うのかということです。味の加減は是非お好みで。