京都・木島櫻谷《柳桜図》1917年 泉屋博古館東京東京・六本木の住友家麻布別邸跡地に、京都の泉屋博古館の分館として2002年に開設された泉屋博古館東京。2年あまりのリニューアル工事を経て、2022年3月に再オープンしたばかり。
野地耕一郎館長に、新しい美術館の魅力とリニューアルオープン記念展について話を伺った。
「京都にある本館では住友家の旧蔵作品のうちの古美術を中心に展示しますが、当館では、近代絵画や近代工芸、茶道具など、東京の生活実感に即した美術品の紹介に重点を置いています。今回のリニューアルでギャラリーの広さを約1.5倍に広げ、照明や壁面を一新してより作品を見やすくしました。講堂を増設し、講演会やワークショップも数多く開催します。加えて、オリジナルのミュージアムグッズも充実させました。新設したカフェでは、都心とは思えない美しい庭園を眺めながらゆったりと鑑賞の余韻に浸っていただけますよ」
東京・橋本雅邦《深山猛虎図》1890年頃 泉屋博古館東京大阪・山田秋坪《柘榴花白鸚鵡図》1920年 泉屋博古館東京リニューアルオープン第一弾となる展覧会では、大阪・京都・東京の三都で活躍した画家の作品を一堂にて紹介する。
「時代によっても推移しますが、大阪は中国文化の影響が色濃い、床映えする鮮やかな作品、京都は淡い色合いの花鳥や山水画、東京は構想を重視した理想主義的な作風と、それぞれの地域文化の違いを感じていただけるでしょう。今回初お披露目となる新収蔵作品もあります。都心のアクセスしやすい場所に位置する当館を、何度でも気軽に足を運べる癒やしの空間、または学びの場としてご自身のライフサイクルに取り入れ、活用していただきたいですね」
都心で充実した時間が過ごせる新たなアートスポットの誕生だ。
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構成・文/安藤菜穂子
『家庭画報』2022年5月号掲載。
この記事の情報は、掲載号の発売当時のものです。