2022年3月、1995年から師匠(2代目市川猿翁)の部屋子として名乗ってきた市川弘太郎を改め、2代目市川青虎を襲名させていただきました。
僕は7人いる師匠の部屋子の末っ子だったので師匠は雲の上の存在でしたが、ご病気になられてからも僕のことを気にかけて導いてくださいました。僕は誰よりも厳しく叱られたと思います。
そして僕には直接おっしゃらなかったのですが、人に頼んで(市川)猿之助さん宛に手紙を書いて僕の襲名を頼んでくださったそうです。それから猿之助さんが澤瀉屋にある名前を調べて検討してくださり、各所のお許しをいただくことができました。
猿之助さんから「いい名前を見つけた」と伺ったのは2021年の7月。ちょうど自主公演の準備の真っ只中ということもあり、無事に終えた9月に「ありがたいお話なのでよろしくお願いいたします」と猿之助さんにお伝えしました。
そして市川青虎として澤瀉屋の一門がほぼ揃った『新・三国志』の舞台で、諸葛孔明というお役を勤めさせていただきました。
『新・三国志』の諸葛孔明。2022年3月、歌舞伎座。撮影/渞 忠之舞台では(市川)猿弥さんとコンビを組ませていただくことが多く、『天一坊大岡政談』でもご一緒します。いちばん気心が知れた先輩なので心強く、今回演じる役は物語の要となる悪役コンビなので、しっかりと演じたいと思います。
通し狂言は一つの芝居として初めから終わりまでを描いていて、内容がわかりやすいのが魅力。初めてのかたにも楽しんでいただけます。
市川青虎(いちかわ・せいこ)
1983年、東京都出身。1993年8月「第1回市川右近の会」の『勧進帳』の太刀持ちで三浦弘太郎の名で初舞台。1995年7月に3代目市川猿之助(現・市川猿翁)の部屋子となり、歌舞伎座『小猿七之助』の日吉丸で市川弘太郎を名乗る。2013年1月大阪松竹座『毛抜』八剣数馬ほかで名題昇進。2022年3月三代猿之助四十八撰の内『新・三国志』の諸葛孔明で2代目市川青虎を襲名。
今月の歌舞伎
【歌舞伎座】
四月大歌舞伎
~2022年4月27日
●第一部 11時開演通し狂言『天一坊大岡政談』
●第二部 14時40分開演一、『江戸絵両国八景 荒川の佐吉』 二、『義経千本桜 所作事 時鳥花有里』
●第三部 18時20分開演一、『ぢいさんばあさん』 二、『お祭り』
※市川青虎さんは第一部の『天一坊大岡政談』の藤井左京役で出演します。
1等席1万6000円ほか
チケットホン松竹:0570(000)489
公演の詳細は歌舞伎公式総合サイトをご参照ください。
歌舞伎美人
https://www.kabuki-bito.jp 表示価格はすべて税込みです。 ※「澤瀉屋」の「瀉」のつくりは、正しくは“わかんむり”です
撮影/岡積千可 構成・文/山下シオン ヘア&メイク/AKANE
『家庭画報』2022年5月号掲載。
この記事の情報は、掲載号の発売当時のものです。