覚えておくと便利なスープの基本と香草パン粉
文・タサン志麻
今回の前菜は、野菜をじっくり煮込んだピストゥスープです。日本にはお味噌汁という文化があるからか、汁物は具材を煮て作るという感覚があります。
フランスにもポタージュスープや野菜たっぷりスープなどたくさんのスープがありますが、お味噌汁とは違って、まず野菜を炒めることから始まります。この違いは味に大きく影響します。
お味噌汁はだしで野菜を煮て味噌で味をつけますが、フレンチのスープはコンソメなどのだしは使っても、調味料は塩・こしょうのみ。ただ、煮ただけではどこか物足りない味になってしまうので、まずはじっくり炒めて野菜の旨みを引き出します。
時間がかかって面倒だと思われるかもしれませんが、鍋に油を温め、野菜を切ったそばから順に炒めれば、思ったほど手間はかかりません。
野菜が汗をかくくらいにしんなりしたら水を入れ、全体がなじむようにコトコト煮ます。今回は仕上げにバジルで作るピストゥソースを加えてピストゥスープに。バジルが手に入らないときは大葉でもいいですし、入れなくても十分おいしくできます。
また、柔らかく煮たものをミキサーにかければポタージュにもなります。
主菜は春の魚・さわらを使った一品。香草パン粉を使ってカリッとした食感を楽しみましょう。
香草パン粉とはパン粉ににんにくのすりおろし、オリーブ油、ハーブを混ぜたもの。ハーブはフレッシュでも乾燥でもOKです。パセリ、タイム、ローズマリーなどが一般的ですが、パクチーや大葉、セロリの葉などで異なる香りを楽しむのもおすすめ。
香りが大切なので作り置くことはおすすめしません。1~2分あれば作れますし、魚に限らず肉や野菜にのせてオーブンやトースターで焼くだけで、一味違った料理になるのでぜひレパートリーに加えてください。
香草パン粉をつける前に、魚にマスタードを塗ります。そうすることでスパイシーな風味がつき、パサつきにくくなります。マスタードを常備していないかたはマヨネーズで代用してもいいですよ。
手際よく作るには、まずスープの鍋を火にかけて野菜を炒めてから、主菜に取りかかりましょう。
◆志麻さんのキッチンが知りたい!◆
オーブンはいつも200度でスタート
毎日の料理でなかなか使いこなせない調理器具がオーブン。「料理によって温度設定が違うことが難しく感じさせるのでは?」と志麻さん。
家政婦としてさまざまな家庭のオーブンを使う志麻さんは、まずは200度に設定し、最初の10分は様子をみるそう。
焼き色が早くつくようなら温度を下げ、反応がなければ温度を上げて調整。これなら気軽に使えそうです。