発疹や水疱が消えても痛みやまひが残るケースも。発症後、抗ヘルペスウイルス薬を早期に飲むことが重要
帯状疱疹の治療でまず行われるのは抗ヘルペスウイルス薬の服用です。「現在、最もよく使われる抗ヘルペスウイルス薬は通常7日間服用します。治療は早ければ早いほど効果的です」と浅田先生。
「冷やすと痛みが強くなることがあるので、気をつけてください。入浴やシャワーをするのはかまいません。ただし、発疹が残っている間は、水痘ウイルスに未感染の子どもに感染させる可能性があるため、小さいお子さんと一緒に入浴したり、タオルを共用したりするのは避けてください」。
帯状疱疹の痛みには、発疹が出る前や出ている最中の急性の痛みと、発疹が消えた後も長く残る帯状疱疹後神経痛があります。
急性の痛みは、炎症が原因となるもので、消炎鎮痛薬やアセトアミノフェンなどの薬で治療します。この痛みは2〜3週間くらいで軽快します。
一方、帯状疱疹後神経痛は炎症によって神経が傷つき、変性した結果として起こるもので、「電気が走るような」あるいは「焼けつくような」痛みが長期間にわたって続き、消炎鎮痛薬が効かない、やっかいな痛みです。
「衣類がこすれたり、冷たい風に当たったりしただけで強い痛みが出るケースもみられます。50代以上の患者さんの2割程度に帯状疱疹後神経痛が起こるというデータがあります。特に高齢者や急性期の痛みが強かった人は要注意です」。
帯状疱疹後神経痛の治療では、痛みを感じにくくする三環系抗うつ薬、痛みを伝える神経の興奮を抑える薬などが処方されます。
「このように帯状疱疹では皮膚症状に加えてさまざまな合併症や後遺症が出ることがありますが、それを防ぐためにも、早期に抗ヘルペスウイルス薬を服用することが大切です。もしも体の片側の皮膚に痛みを伴う発疹が出てきたら、帯状疱疹かもしれないと疑って、すぐに皮膚科を受診してください」と浅田先生は強調します。
帯状疱疹の主な治療法
●抗ヘルペスウイルス薬の服用
●消炎鎮痛薬など痛みを和らげる薬が処方されることもある
イラスト/にれいさちこ 取材・文/小島あゆみ
『家庭画報』2022年5月号掲載。
この記事の情報は、掲載号の発売当時のものです。