深刻に考えなくて大丈夫。初夏の気うつは治りが早い
5月の「気」の上昇に伴う心の不安定は、小さな気晴らしやちょっとした嬉しい出来事で治りやすいのが特徴です。季節が移れば自然に「気」も安定を取り戻します。あまり深刻に考えず、近くの野山や公園に足を運んでみてはいかがでしょうか。
万葉の時代、5月5日は「薬日(くすりび)」と呼ばれ、女性は薬草摘み、男性は鹿狩りに出かけました。若鹿の角は「鹿茸(ろくじょう)」(強壮作用)、老鹿の角は「鹿角(ろっかく)」(鎮静作用)という漢方薬として重宝されたのです。
この日を人々は行楽としても楽しみ、万葉集には、薬日に額田王(ぬかたのおおきみ)と大海人皇子(おおあまのみこ)が詠み交わした有名な和歌が記されています。古(いにしえ)の人も、自然の中で過ごしながら心を開放し、精神の安定を図っていたのかもしれません。
撮影/本誌・武蔵俊介 イラスト/浜野 史 取材・文/浅原須美
『家庭画報』2022年5月号掲載。
この記事の情報は、掲載号の発売当時のものです。