藤野幸信さんが選ぶ「季節の贈り花」 今、この花を贈りたい! 「フルール トレモロ」オーナー 藤野幸信さんが“今贈りたい”おすすめの花をセレクト。その花を使った、新作ブーケ&アレンジメントをさまざまなバリエーションでお届けします。
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シャクヤク「エッチドサーモン」をメインに、ピンクとブルーのエレガントな色合わせのアレンジ。奥さまの誕生日にご主人からの贈り花です。「エッチドサーモン」とよく似た花色のバラは「ローズシノ」。シャクヤクは蕾から花開くまでのすべてが美しい
私が大好きな花のひとつにシャクヤクがあります。4月下旬から6月中旬の限られた期間にしか出回らないのですが、ちょうど母の日と重なるため、毎年シャクヤクを使った贈り花をたくさん制作します。母の日の贈り花が集中する忙しい日々でも、大好きなシャクヤクと存分に触れ合うことができるのは幸せなことだと感じています。
シャクヤクは蕾の状態で市場に出回ります。子供が手を握ったくらいの蕾はまんまるでかわいらしく、赤花の場合はまるで小さなリンゴのように見えます。それが少しずつほころんで徐々に開いていく様子を眺めているとわくわくした気持ちになります。
あでやかなピンクのシャクヤク「エッチドサーモン」。蕾がほころんできた状態も愛らしく、じっと見ていたくなります。ふんわり開いて蕾の2、3倍のサイズになったときの、優雅で豪華な花姿には毎年のことながら惚れ惚れして、何枚も写真を撮ってしまうほどです。最終形の美しさだけでなく、その過程も含めて胸ときめく気持ちを味わえるのも、シャクヤクの大きな魅力だと思います。
ボール状の蕾で届いたシャクヤクは、お客さまの元に届くときに緩く開きかけた状態になるようお店で開花調整します。徐々に開いていく様子を間近でご覧になって、シャクヤクの魅力をご堪能いただけたらうれしい限りです。
程よく開いた状態の「エッチドサーモン」の優雅な姿をアップでご覧ください。シャクヤクを使ってブーケやアレンジを制作する際に気をつけているのが、「花が開くためのスペース」を確保することです。シャクヤクの隣にふんわりした小花や葉ものなどを挿すと開花の邪魔になりません。美しく花が開いた際に窮屈に見えないように心がけています。
あれだけ大きな花ですから、開花するにはパワーが必要で、そのために欠かせないのが水分です。もしシャクヤクの贈り花をいただいた場合は、ブーケなら大きめの花器にたっぷりと水を入れて挿し、アレンジの場合は毎日水やりするなど、水が切れないように気をつけてください。出回り期間が短いので、この時期にぜひ贈り花に、またご自宅を飾る花にもシャクヤクを選んでみてください。
下のフォトギャラリーから詳しくご覧いただけます。 藤野幸信/Yukinobu Fujino
広島駅からほど近い段原の骨董通りにある「fleurs trémolo」(フルール トレモロ)オーナー。広島大学大学院理学研究科生物科学専攻を終了後、花の道に進んだ異色の経歴。感動する花束を多くの人に届けたいという思いから、市場からだけでなく自ら生産者情報を入手してお気に入りの花を集める。何種類もの花を使ったブーケは、エレガントでナチュラル。著書
『大切な人への贈り花』も好評。
https://www.fleurs-tremolo.com 『人気フローリストが教える フラワーアレンジのデザイン&ヒント78 大切な人への贈り花』
誕生日、結婚記念日、ウエディングなど、78例のブーケ&アレンジメントを色別に掲載したオールカラーの大判の単行本。色別花図鑑コラムや全国の生産者データなどお役立ち情報やインデックスも充実。大切な人へ花を贈る際のヒントが満載です。