近年ますます意識の高まりを感じる「地産地消」。風土を生かした豊かな食を、究極の“もてなし”とする美食ホテルへの注目は増すばかり。今回は、ラグジュアリーなリゾートとして知られ、瀬戸内の滋味豊かな地元食材を用いた極上の料理で名高い「ベラビスタ スパ&マリーナ 尾道」に、料理研究家・門倉多仁亜さんが訪れました。
右:門倉多仁亜(かどくら・たにあ)さん
料理研究家。日本人の父とドイツ人の母との間に生まれ、日本、ドイツ、アメリカで育つ。結婚後、ロンドンで「ル・コルドンブルー」に通いグランディプロムを取得。帰国後、料理教室を主宰。多くの媒体で食や生活文化を発信。地元素材の魅力を、最大限に引き出すひと皿を
「お料理すべてがおいしかったのですが、なかでもいのししが柔らかく風味豊かで感動しました」(門倉多仁亜さん)「神石高原産のいのししは、腕のいい生産者のかたが届けてくれます。僕らは、地元の素晴らしい素材を、シンプルな調理で楽しんでいただいております。」(藤井智哉シェフ)
ホテルのメインダイニング「エレテギア」では、月替わりで、瀬戸内の地元素材を用いたフルコースを提供しています。バスクを中心に修業した藤井シェフが、調理のポイントに据えているのは、大きな新窯。魚介類や肉、野菜はもちろん、調味料も地元産。古代の製法が伝わる弓削島の塩をシェフの好みで結晶に仕上げたり、オリーブオイルは高松産の手摘みのものを厳選したり。生産者と藤井シェフとの交流から、洗練された料理の数々が生み出されます。「お料理のおいしさに、瀬戸内の豊かさが
表現されていますね」(門倉さん)「食を通して、瀬戸内の魅力をもっと発信していきたいです」(藤井シェフ)
薪火で焼き上げた「清麻呂牛のフィレ肉」。日本ではここでしか味わえないリオハの希少な赤ワイン「セントゥム・ヴィトス」と。