朴葉で蒸した太刀魚にはポルト酒を煮つめ、クリームやトリュフを加えた贅沢なソースを(手前)。アルザス系の白ワイン、またはブルゴーニュの軽めの赤ワインもよく合う。三人官女を思わせる前菜(中)、古代ひしおでシンプルに仕上げた肉料理(奥)。
弥生三月。東大寺二月堂で行われる「お水取り」の本行が終わると、奈良の町は徐々に春めいてきます。奈良公園や興福寺北円堂に隣接する「登大路ホテル奈良」ではメインダイニングのメニューも春の装いに。「地元の食材を織り交ぜながら、フランス料理らしくソースの味わいも大切に。コースの随所で、この季節の奈良を感じていただけます」と仙石耕一総料理長。2017年春、総料理長に就任以来、奈良の食材の豊かさに心を奪われたとおっしゃいます。
例えば奈良県御所市で作られている“古代ひしお”。「醬油の風味を残しながらも穏やかな印象だったので、牛肉を引き立ててくれるのでは、とひらめきました」。また、青竹に盛られた魚料理や青い炎が上がるデザートのチェリージュビレが登場するのも、お水取りの季節ならではの嬉しい演出です。もちろん、フランス産をメインにしたワインも充実。ベテランソムリエに相談しながらの、一期一会のマリアージュをお楽しみいただけます。奈良のエスプリに満ちたディナーとワインのハーモニーは、忘れられない春の思い出になりそうです。