Q6 今こそ、“捨てない生きかた”が大切な理由を教えてください。
五木 年齢を経てくると行動半径が限られるし、活動力は衰えてきます。逆に、空想力は無限にある。そのためにも、いろいろなことを想像したり、感じたりする喜びを大切にしていくほうが幸せだと思うのです。そのためにも、回想の友は大切です。友人たちはどんどん亡くなっていきますが、記憶の依代になるものがあれば寂しくはないからです。
人生100年時代は、“孤独”というのが、大きなテーマになります。よく孤独を耐えるといいますが、孤独にまつわる影や寂しさは払拭したほうがよいと思います。後半生に社交性を発揮して、新しいコミュニティに参加したり、ボランティアに精を出す人もいますが、無理をする必要はない。
ひとりでいる孤独感より、群衆の中で感じる孤独のほうがきついものです。結局、人間は家族で一緒に住んでいても孤独。結婚しない人や子どもがいない世帯も増えているので、これからは単身世帯が増え、ますます孤独とどう向き合うかは大切な課題となります。それなら、孤独を楽しんだほうがよい。孤独は、誰にも干渉されない、なんて自由で楽しい時間なんだろうと思ってみてはいかがでしょうか。