[特別インタビュー]五木寛之への10の質問 最終回(全5回) 1月に上梓されて以来、10万部を超えるベストセラーとなった五木寛之さんの『捨てない生きかた』。“捨てない”ということを主題に、個人としての生き方から、国家論・文明論まで展開する同書。五木さんがこの著書で語る“捨てない”という言葉に込めた真のメッセージを10の質問から紐解きます。
前回の記事(Q5、6)はこちら>> Q7 “捨てる”“捨てない”対象として、ガラクタ以外に、どのようなものがありますか?
五木 今、“捨てること”は「生産」「消費」と関連した、今世紀から来世紀へのグローバルな大きな問題です。使用済み核燃料の廃棄から、二酸化炭素や排気ガスの影響による気象や生態系の異常、海洋汚染など、捨てるという問題が、我々の生活に食い込んできています。少し前までは、環境問題や地球の汚染問題は暮らしの楽な暇な人の発想という反発もありましたが、もはやそういう問題ではありません。趣味やライフスタイルの問題ではなく、生存の問題になっていることに気づいてほしいと思います。
少し前の新聞で、三越伊勢丹が、約20トンものユーズドのジーンズを新しいアイテムにリフォームして販売するという記事を目にしましたが、大手デパートも本気で廃棄問題と取り組み始めているのが印象的でした。少し前には、ジョルジオ・アルマーニ氏がコロナ禍を機に、持続可能なモードを目指すという提言をしていましたが、それも流行の最先端を行くデザイナーが世の中の流れを読む敏感さに感動しました。