撮影/向 哲嗣弱い鳥と書いて「鶸(ひわ)」、天国に一番近い鳥。
選・文=川上和人(鳥類学者)
東アジアに広く分布するカワラヒワと同種とされてきた。しかし、2年前の研究で100万年以上前に別系統に分かれた別種とわかった。小笠原だけにいる固有種だったのだ。
撮影/川上和人この鳥は絶滅の縁にいる。過去約100年で数が100分の1に減り、成熟個体はたった200羽、繁殖地の面積は10km
2以下だ。正直なところ絶望的な数字である。外来のネズミやネコの捕食が影響していると考えられている。
撮影/川上和人今この鳥を守るため、小笠原村の島民ががんばっている。行政も研究者も動物園も自然保護団体も、この鳥を見たこともない多くの一般人も力を合わせている。
この鳥を次世代に残せるかどうかはまだわからない。残せなければ現代の人の恥だ。そんな鳥がいることを知ってほしい。
『家庭画報』2022年6月号掲載。
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