身近な人がいじめられていたら、
あなたはどうしますか?
いじめの問題も同じ構造です。自分さえいじめられなければいい、という考え方ではだめなんです。身近な誰かがいじめられていることに気づいたとき、あなたならどうしますか?
いじめられている人に手を差し伸べたり、いじめている人に立ち向かったら、今度は自分がいじめられるかもしれない。そうならないために見過ごしておこうというのは、とても悲しいこと。
自分さえ幸せなら、自国だけよければそれでいい。そういう考えは絶対に間違っています。すべての人が幸せでなければ、あなたも幸せになれないんです。それをよーく心に刻んでおくことです。
「忘己利他(もうこりた)」という言葉をご存じですか? 自分の幸せは忘れて、他人の幸せのために祈る、他人のために行動するということです。自分の利益にまったく関係のない、自分以外の人のことを仏様にお願いすると、きっと通じると私は信じています。
瀬戸内寂聴
1922年徳島県生まれ。1950年頃から少女小説などを執筆、以降数々の作品を発表。73年得度し法名「寂聴」に。74年寂庵を結ぶ。96年瀬戸内寂聴現代語訳『源氏物語』全10巻(講談社刊)刊行。2014年に刊行した『死に支度』(講談社刊)がベストセラーに。近著は『わたしの好きな仏さまめぐり』(マガジンハウス刊)。
寂庵の庭で微笑む瀬戸内寂聴さん。相手に笑顔を施すことが徳になるという「和顔施」をまさに実践されているような、周囲も幸せにしてくれる笑顔です。(2015年撮影・瀬戸内寂聴事務所提供) 【全4回連載】教えて、瀬戸内寂聴さん! こんな時代にどう生きたらいいのですか?
『ときめき』は50代以上の知的好奇心旺盛な女性に向けた季刊の雑誌です。そこが知りたかった、いまさら人に聞けない……という悩みに明快にお応えする一冊です。 別冊家庭画報『ときめき』 2017春号
取材・文/宮本 柊
別冊家庭画報『ときめき』2017春号掲載。
この記事の情報は、掲載号の発売当時のものです。