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健康増進に効果大のにらを飽きずに食べたい! 今日は3つの料理法を紹介します

2022.05.24

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プロよりおいしく作れる 野菜料理の“ちょっとしたコツ”365 身近な野菜で、プロよりおいしい野菜料理を作ってみませんか? 銀座の日本料理店「六雁(むつかり)」の店主・榎園豊治(えのきぞの・とよはる)さんに、家庭だからこそ実践できる“ちょっとしたコツ”を毎日教わります。一覧はこちら>>

にらのぬた和え、おから、おやき


にらのぬた和え、おから、おやき

バテやすくなるこれからの季節、ビタミンB1が不足すると疲労や夏バテの原因になりますが、ビタミンB1だけ摂取してもほとんどが体外へ排出されてしまいます。そこで活躍するのがスタミナ野菜のにら。レバにらのように、ビタミンB1を多く含むレバーとアリシンを含むにらを一緒に摂ると、アリシンとビタミンB1が反応を起こし吸収が高まります。

アリシンには他にも血の流れをよくして血栓を予防したり、食欲を増進させる効果もあります。アリシンの元になる物質はにらの根元の白い部分に多く含まれ、細かく切ると酵素と反応してアリシンが発生します。加熱すると香りが増幅し、味に深みが出ます。“細かく切った後に加熱する”ことで、健康効果やおいしさがアップするのです。


一方、葉の緑の部分には抗酸化作用があるβ-カロテンやビタミンEが豊富です。こちらは“加熱してから切る”のが最適で、切ってから茹でたり炒めたりするとβ-カロテンやビタミンEが流出してしまいます。

にらのぬた和え、おから、おやき最も一般的な、葉にら。

にらの原産地は定かではなく、日本へは中国から伝来したといわれています。『古事記』や『万葉集』、『本草和名(ほんぞうわみょう)』などにも記載があり、古くから親しまれていたことがわかります。一般的な緑色の「葉にら」以外にも、日光に当てず軟白栽培した「黄にら」や小さなつぼみがついた「花にら」などがあります。

通年出回っていますが、最もおいしいのは春に最初に伸びてきた1番にらで、肉厚で柔らかく、糖度は8以上といちごに匹敵する甘さです。さっと茹でるだけの料理法が適しています。にらは収穫の際に地上部を刈り取って根っこを抜かないので、1番にらを収穫した後も次の新しい葉が2番、3番と伸びてきます。ただ、後になればなるほど甘さはなくなり、香りが強くなるので炒めものや餃子の具などに向いています。

1番にらが出る春初めの頃でも、店頭には1番にらと2番にらが混在していることがあります。茎の一番太い部分の直径が1㎝以上あるものが、1番にらの可能性が高いようです。1番にらに限らず、おいしいにらは葉の幅が広めで肉厚です。きれいな緑色で張りとつやがあり、ぴんと葉先までまっすぐ伸びているもの、切り口がみずみずしいものがよいでしょう。

上手に選んだにらを賢く料理して、健康効果とおいしさの両方を実現する野菜料理を楽しみましょう。


ちょっとしたコツ


・「にらのぬた和え」は、野菜料理をおいしくする7要素中7要素を取り入れている。

◎旨み ◎塩分 ◎甘み ◎油分 ◎食感 ◎香り ◎刺激

にらは切らずに長いまま茹でて使う

食感が残るようにさっと茹でる。茹で過ぎは禁物

・茹で上がったにらは、水に放さずにざるに上げ、塩をふって扇風機やうちわであおいで急冷する。

酢味噌は酢だけでなく、柑橘の搾り汁も加えることでマイルドな酸味になる。

食べる直前に辛子酢味噌で和える。和えて時間がたつと水っぽくなり、色と食感も失われる。

・「にらのおから」は、野菜料理をおいしくする7要素中7要素を取り入れている。

◎旨み ◎塩分 ◎甘み ◎油分 ◎食感 ◎香り ◎刺激

・にらは根元の白い部分は小口切りにして最初から加え、緑の部分は最後に加えて余熱で火を通す

・「にらのおやき」は、野菜料理をおいしくする7要素中7要素を取り入れている。

◎旨み ◎塩分 ◎甘み ◎油分 ◎食感 ◎香り ◎刺激

生地はこねた後、1時間ほど休ませるとよくのびる。

・小口切りにしたにらの根元の白い部分は、最初から加えて油をなじませる。緑の部分は最後に加える

8分ほど蒸した後、火を消して2分ほど蒸らすとふっくらしっとりした仕上がりになる。







にらのぬた和え、おから、おやき

「にらのぬた和え」(中央)


【材料(2人分)】
・にら(葉の緑の部分のみ。白い部分を加えてもよい) 40g

・油揚げ 1/4枚

・赤こんにゃくのピリ辛煮(黒こんにゃくでもよい) 20g
こんにゃくのピリ辛煮」参照
※こんにゃくは少量では炊きにくいので、多めに炊いて常備菜にしたり、他の料理(和えもの、酢のものなど)に使用するとよい。

・辛子酢味噌 大さじ1.5〜2(好みで)
玉味噌(白)30g(作りやすい分量:西京味噌500g、卵黄5個、砂糖30g、日本酒200cc「生姜味噌」参照)、レモン果汁小さじ1/2、酢小さじ1/4、練り辛子5g

【作り方】
1.にらは根元の白い部分を切り取り、緑の葉の部分だけを使う。大きめの鍋に湯をたっぷり沸かし、にらを入れて、火の通りが均一になるように箸で1~2度上下を返して8〜10秒茹でる。

2.茹で上がったにらは水に放さず、ざる上げた後に、大きめのバットやまな板に並べて塩(材料外)を薄くふる。扇風機やうちわであおいで冷ます。

3.冷めたにらを乾いた布巾で包んで水分を除き、3cm長さに切る。

4,油揚げはオーブントースターで両面をこんがり焼き、5mm幅×2.5cm長さに切る。赤こんにゃくのピリ辛煮は4mm角×2.5cm長さに切る。

5.辛子酢味噌を作る。ボウルに玉味噌(白)を入れてレモン果汁と酢を加えて混ぜ、練り辛子を加えて混ぜる。

6.ボウルににらと油揚げ、赤こんにゃくのピリ辛煮を入れて混ぜる。辛子酢味噌を加えて和え、器に盛る。

「にらのおから」(左)


【材料(3〜4人分)】
・にら 50g

・おから 300g

・新ごぼう(笹がき) 15g
笹がきのやり方は「ひじきの炒め煮、おからの酢炊き」の「ひと目でわかるプロセス&テクニック」参照。

・しいたけ(中。8mm角に切る) 1〜2個

・生姜(みじん切り) 3g

・山くらげ(炊いたもの) 25g 「山くらげの辛子酢味噌和え」参照

・出汁 180cc

・サラダ油 小さじ1

・ごま油 小さじ1

・塩 2g弱

・薄口醤油 小さじ2と1/2弱

・みりん 小さじ1と1/2

【作り方】
1.にらの根元の白い部分を1〜2mm幅の小口切りにする。「にらのぬた和え」で残った白い部分があれば、同じように小口切りにする。緑の部分は2.5cm長さに切る。

2.鍋を火にかけてサラダ油とごま油を入れ、新ごぼう、しいたけ、生姜、にらの根元の白い部分を加えて炒める。火が通ったらおからを加えてさらに炒める。

3.山くらげをたして、出汁と調味料を入れ混ぜた後、中火~弱火で炊く。

4.煮汁が少なくなってきたら、にらの緑の葉の部分を加えて混ぜ、火からおろして器に盛る。

「にらのおやき」(右)


【材料(4〜5個分)】
・生地
薄力粉100g、ベーキングパウダー3g、サラダ油12g、砂糖5g、水50cc

・にら 80g

・生姜(みじん切り) 20g

・松の実 30g

・赤唐辛子(種を抜く) 1/2本

・サラダ油 適量

・ごま油 適量

・味噌(好みのものでよい) 35〜40g(好みで)

・砂糖 1.5〜2g

【作り方】
1.生地を作る。ボウルに薄力粉とベーキングパウダーを入れてよく混ぜる。他の材料もすべて加え、よく混ぜてひとつにまとめる。まな板に薄力粉(分量外)で打ち粉をして、生地を2〜3分こねる。生地を丸めてラップで包み、常温で1時間ほど休ませる。

2.にらの根元の白い部分を1〜2mm幅の小口切りにする。緑の部分は2cm長さに切る。

3.フライパンを火にかけ、サラダ油とごま油を半々で適量ひく。赤唐辛子と生姜を加えて炒め、松の実とにらの白い部分を加える。味噌と砂糖を入れて全体にからめ、最後ににらの緑の部分を入れて火を通し、火からおろす。バットに広げて冷ます。

4.1の生地を30g程度に切り分けて丸める。生地をのばして広げ、赤唐辛子を取り出した具材を30g程度に分け、それぞれ包みしっかりとじる。

5.フライパンを火にかけ、薄くサラダ油をひいて、4をとじ目を下にして並べる。両面をきつね色に焼く。

6.蒸気の上がった蒸し器に、蒸気が通りやすいように切り目を数箇所に入れたオーブンペーパーを敷く。5を少し離して並べ、8分ほど蒸して火を消し、2分間そのまま蒸らす。蒸し器から出して器に盛る。

私たちプロの料理人の中には、色や見た目を味より重視する者もいます。薄味信仰?なのか、本当は少し濃いめの味にしたほうがおいしいものでも、それは恥と、濃いめの味つけを避けます。また、味を素材にしっかりと含ませることがプロの料理と、無理に味をつけなくてもおいしい素材に味をつけて台無しにしてしまうこともよくあります。何より、皆さまがおいしいと思う味にしてください。人の味の好みは様々です。ご自身・ご家族の好み、体調に合わせた味に調整しましょう。レシピに示す調味料などの分量は一例に過ぎません。注目していただきたいのは素材の組み合わせと料理手順、どんな調味料を使うのかということです。味の加減は是非お好みで。

六雁(むつかり)

榎園豊治さんプロフィール
銀座並木通りにある日本料理店「六雁」初代料理長であり、この連載の筆者でもある榎園豊治さんは、京都、大阪の料亭・割烹で修業を積み、大津大谷「月心寺」の村瀬明道尼に料理の心を学ぶ。その後、多くの日本料理店で料理長を歴任、平成16年に銀座に「六雁」を立ち上げた。野菜を中心としたコース料理に定評がある。

六雁 むつかり

東京都中央区銀座5-5-19
銀座ポニーグループビル6/7F
電話 03-5568-6266
営業時間 (夜)17時30分~23時 ※土曜日のみ17時~
(営業時間は変更になることもあります。事前に店舗にご確認ください)
URL:http://www.mutsukari.com

六雁 むつかり 料理長、秋山能久(あきやま・よしひさ)さん。連載でご紹介する料理を手がけてくださる、現料理長・秋山能久(あきやま・よしひさ)さん。
文/榎園豊治 撮影/大見謝星斗
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