親と自分のために──知っておきたい認知症介護の話 第6回 認知症に向き合うには事前の備えが大切です。介護する側とされる側、お互いが幸せに過ごすために、さまざまな分野の専門家から具体的なアドバイスを伺います。
前回の記事はこちら>> 〔今月の専門家〕介護・暮らしジャーナリスト 太田差惠子(おおた・さえこ)さんNPO法人「パオッコ~離れて暮らす親のケアを考える会」理事長。1993年頃より老親介護の現場取材を始める。1996年、遠距離介護の情報交換の場を立ち上げ、2005年に法人化。著書に『遠距離介護で自滅しない選択』(日本経済新聞出版社)など多数。親の状態に応じて施設に入居するタイミングをあらかじめ決めておくと、精神的に介護が楽になります
一人暮らしの認知症の人の場合、火の始末ができなくなったりすると在宅介護サービスを利用していても自宅で暮らし続けるのは限界です。
「同居・別居にかかわらず、親がどのような状態になったら施設に入居するのかということを決めておくと精神的に楽になります」と介護・暮らしジャーナリストの太田差惠子さんはアドバイスします。
特に別居の場合は、普段から親をサポートしてくれるケアマネジャーに「一人暮らしが難しくなってきたときは早めに教えてください」と頼んでおくのがいいそうです。
施設への入居を考えるタイミング
『遠距離介護で自滅しない選択』(太田差惠子 著 日本経済新聞出版社)を参考に作成一方で施設に入居することを嫌がる親はとても多く、子としても忍びない気持ちになりますが、「施設は介護の備えとして必要な社会資源です。“姥捨て山”のようにとらえ、施設を利用したくないと考える人ほど介護を一人で抱え込みやすく自滅しがちです」と太田さんは忠告します。
施設は誰もが利用する可能性があるのだと認識をあらためることが親の施設探しの第一歩といえるでしょう。