施設にいったん入居できても、退去をいい渡されることも
別居の場合、子が通いやすいように住まいの近くの施設を選ぶケースが多いそうですが、地方から呼び寄せて都会の施設に入れたときの落とし穴の一つが言葉です。方言がうまく通じないことで親がなじめないことがあるようなので注意が必要です。
施設を探し直すのは親にも子にも負担が大きいため、太田さんは最初の段階で慎重に選ぶことをすすめます。
「少なくとも3か所、できれば5か所ほどの施設を続けて見学したいものです。食堂に入居者が集まるランチタイムの見学は、どの程度の介護度の人が多く、どのようなスタッフからどんな介護を受けているのかがよくわかります」。
民間施設は見学だけでなく体験入居ができるところが多いので、ぜひ利用してみましょう。入居の際、一時金が必要な施設もありますが、入居後3か月はクーリング・オフ期間にあたります。暮らしてみて合わないと感じたときは入居契約を取り消せるため、この期間中によく検討することも大事です。
また、親が施設にいったん入居しても退去をいい渡されることがあり得ることを知っておきましょう。太田さんによると理由として多いのは認知症が進行してほかの入居者とのトラブルが多くなったり、点滴や胃ろうなどの医療行為が継続的に必要になったりしたとき。介護型施設でも看護体制が整っておらず住み続けるのが難しくなることがあるそうです。
「このことは施設の重要事項説明書に記載されていますが、見学の際、どんな状態になったら退去になるのか口頭でもしっかり説明を受けましょう。また、退去となった人は、その後どこの施設に行ったのかも確認してみてください。なかには関連施設に移れるケースもあります」と太田さんはアドバイスしています。
『家庭画報』2022年6月号掲載。
この記事の情報は、掲載号の発売当時のものです。