クレソンの白酢かけ、辛子麹和え、かき揚げ
今日は「
クレソンのポテサラケーキ」に続いて、クレソンを三様に料理し、すがすがしい風味とピリッとした辛みを楽しみます。クレソンはヨーロッパ原産の水生植物で、日本には明治時代初期に持ち込まれ、和名は「オランダ辛子」「オランダ水辛子」と言います。
当初は日本に滞在する外国人向けに栽培されたようですが、繁殖力が非常に強く水辺や湿地で野生化して広がり、現在では各地の河川敷や小川に群生しています。
一般に売られているものはほとんどが栽培もので、年中安定して出荷されます。多くは葉や茎が柔らかい水耕栽培で、若いうちに収穫した「サラダクレソン」はさらに柔らかく、辛みも少ないのが特徴です。露地ものは、5月中旬になると葉先に花がついて茎が堅くなり、生食には向かなくなります。花自体には芳香と辛みがあるのでエディプルフラワーとして使えます。
葉が濃い緑で密生して葉先までみずみずしいもの、茎に余分なひげ根がなく、太くまっすぐに伸びているものを選びましょう。曲がっているものは収穫後時間がたっている可能性があります。
クレソンには抗菌や血液の酸化防止の効能があり、その辛みには利尿効果や食欲を増進させる働きがあるとのこと。“クレソン”食べなきゃ“これ損” ですね(笑)。今日も野菜料理を楽しみましょう。
ちょっとしたコツ
・「クレソンの白酢かけ」は、野菜料理をおいしくする7要素中7要素を取り入れている。
◎旨み ◎塩分 ◎甘み ◎油分 ◎食感 ◎香り ◎刺激
・白酢に使う白和えの衣は少量では作りにくい。冷蔵庫で保存すれば3日ほどはおいしく使えるので、ある程度の量を仕込んで、残ったら他の野菜の和えものなどに使うとよい。
・柔らかく熟れているアボカドを使うこと。アボカドが熟れていなければ、どんなに手を加えてもおいしくはならない。熟れていない場合は、りんごやバナナなどのエチレンガスを発するものと一緒にビニール袋に入れ常温で1〜2日ほどおき、過熟にならないようこまめにチェックする。
・クレソンのあくが強い場合は、切る前に10分ほど水につけておくと程よく抜け、葉に勢いも出る。
・「クレソンの辛子麹和え」は、野菜料理をおいしくする7要素中7要素を取り入れている。
◎旨み ◎塩分 ◎甘み ◎油分 ◎食感 ◎香り ◎刺激
・新ものの切り干し大根は臭みも少なく、甘くてみずみずしい。味が抜けないように水につけ過ぎないこと。
・塩蔵わかめ、乾燥わかめは水でもどして使うが、もどし過ぎに注意する。食感や風味、旨みが失われるだけでなく、わかめに含まれる水溶性の食物繊維や一部のビタミン群も失われてしまう。
・食べる直前に辛子麹で和える。時間が経過すると食感が失われ、水分が出て味のメリハリもなくなる。
・「クレソンのかき揚げ」は、野菜料理をおいしくする7要素中7要素を取り入れている。
◎旨み ◎塩分 ◎甘み ◎油分 ◎食感 ◎香り ◎刺激
・そら豆は、熟して割れた豆でも、若い小さな粒の豆でも、両方を合わせてもよい。両方を混ぜる場合は、火の通りが一緒になるように大きな豆は切って調整する。
「クレソンの白酢かけ」(奥)
【材料(2人分)】・クレソン 1/3束(15g)
・アボカド(完熟のもの) 1/2個
・揚げ油 適量
・白酢 40g ※白酢は白和えの衣に出汁と酢を追加したもの。
作りやすい分量:
・白和えの衣 約80g:絞り豆腐(木綿豆腐1/2丁の水分をしっかりと絞ったもの)70g、いり白ごま(市販品のいりごまを軽くいり直す)5g、塩少々、薄口醤油小さじ1弱、砂糖小さじ1と1/2 詳しい作り方は「
トマトの白和え」参照
・出汁 大さじ1/2
・酢 大さじ1/2
【作り方】1.クレソンは葉と茎に分け、それぞれ食べやすい大きさに切る。
2.アボカドの種に当たるように縦に包丁を一周入れ、ひねって2つに割り、種と皮を除く。片身を縦3つに切る。フライパンに揚げ油を入れ、180℃に熱し、アボカドを揚げる。表面がきつね色になったら油から上げて、クッキングペーパーに広げて余分な油を除く。
3.一口大に切ったアボカドとクレソンを器に盛る。上から白酢をかけて供する。
「クレソンの辛子麹和え」(左)
【材料(2人分)】・クレソン 1/3束(15g)
・切り干し大根(新もの。水でもどして絞る) 15〜20g
・わかめ(塩蔵、乾燥どちらでもよい。もどしたもの) 10g
・利休麩(炊いたもの) 1/2個 「
利休麩」参照
・辛子麹(塩麹1:練り辛子1の割合) 10〜15g(好みで)
※塩麹(市販品)は商品により塩分濃度がかなり違う。塩分が高くないものを用いる。
・濃口醤油 小さじ1/2(好みで)
【作り方】1.クレソンは葉と茎に分け、それぞれ食べやすい大きさに切る。
2.水をはったボウルに切り干し大根を入れ、ほぐして付着したごみなどを落とす。下に沈んだごみが混ざらないように両手で少しずつすくってざるに上げる。ボウルに再度、水を入れて切り干し大根を入れ、3〜5分ほどつけてざるに上げる。何回かに分けて両手でギュッと握って水気をしっかり絞る。横に長く置いて食べやすい長さに切る。
3.わかめは水でもどして、真ん中にある茎の部分を除いて食べやすい大きさに切る。わかめの下処理は「
わかめと春菜の酢のもの、わかめとねぎの辛子酢味噌かけ」参照。
4.辛子麹を作る。塩麹と練り辛子を同量ずつボウルに入れてよく混ぜ、濃口醤油を好みの量加える。
5.ボウルにクレソンと切り干し大根、わかめ、4等分した利休麩を入れて混ぜる。4を加えて、ほぐしながら全体が均一になるようによく混ぜて器に盛る。
「クレソンのかき揚げ」(右)
【材料(2人分)】・クレソン 1/2束(25g)
・そら豆 12粒
・天ぷら衣
薄力粉100g、冷水100cc、卵黄1個
・揚げ油 適量
・塩 少々
【作り方】1.クレソンは葉と茎に分け、それぞれ食べやすい大きさに切る。
2.そら豆はさやから出して薄皮をむく。
3.天ぷら衣を作る。ボウルに入れた冷水に卵黄を加え、泡立て器でときほぐす。そこに薄力粉を加えて粘りが出ないようにさっくりと混ぜる。ベジタリアンは卵を用いなくても構わない。
4.クレソンとそら豆を別のボウルに入れ、少量の薄力粉(分量外)をまぶす。
5.4に3の天ぷら衣を適量加え、全体が均一になるよう混ぜる。
6.180℃に熱した揚げ油の中に、5を小さなおたまで静かに入れていく。実際は170℃前後で揚げたいので、油の量にもよるが最初は180℃にしておき、たねを入れた後に170℃になるように火加減を調整する。
7.油の中でたねが広がってきたら、箸で寄せて形を整える。しばらくしたら裏返す。泡が小さくなり揚がったら、油をよくきって、塩をかけて供する。
私たちプロの料理人の中には、色や見た目を味より重視する者もいます。薄味信仰?なのか、本当は少し濃いめの味にしたほうがおいしいものでも、それは恥と、濃いめの味つけを避けます。また、味を素材にしっかりと含ませることがプロの料理と、無理に味をつけなくてもおいしい素材に味をつけて台無しにしてしまうこともよくあります。何より、皆さまがおいしいと思う味にしてください。人の味の好みは様々です。ご自身・ご家族の好み、体調に合わせた味に調整しましょう。レシピに示す調味料などの分量は一例に過ぎません。注目していただきたいのは素材の組み合わせと料理手順、どんな調味料を使うのかということです。味の加減は是非お好みで。