伸びやかに響き渡る歌声が証明する“2人の進化”
生バンドならではの迫力に満ちたサウンド、激しく舞う2人とダンサーたちを乗せたまま花道がプロペラのように360度回転する大仕掛けの舞台装置。「Spinning」や「MAXIMUM」、「Rising Sun」といった迫力のあるダンスとシャウトで織りなされる人気曲は、まさに東方神起の真骨頂。そうかと思えば、あたたかな「Duet(winter ver.)~White」のメドレーを15mもの高さから会場を見渡すように歌い上げる。ふり幅の広い演出に心を鷲掴みにされていると、また一転、すべてをそぎ落としてシンプルに、2人が向かい合って歌うバラードの世界へ――。
見事なハーモニーで魅せてくれたのは「Bolero」。時に溶け合い、それでいて異なる旋律が追いかけ合うように重なり、聴く者の心の襞に染みわたってゆく。“声”というのは不思議なもので、その者の生き様をも伝えることがあります。「Bolero」のロングトーンには、彼らの2年間の“鍛錬”を感じさせるものがありました。ストラディバリウスなどのヴァイオリンの名器が、表板の構造などに音色の秘密を持っているように、ユンホさんの優しく甘みを帯びた歌声は、その厚い胸を共鳴させて響きわたります。チャンミンさんの高音は、以前とはまた違う柔らかさを増し、ドームの頂きまで突き抜けていきます。活動休止期間に鍛えた身体、異なる世界での経験、心の変化や歌詞解釈への深み。いくつもの要素を抱き込んだ2人の“歌唱力の進化”に、人生に起こるすべてのことを前向きに“強み”へと変換させる、真のアーティストとしての姿を見ることができました。
一転してMCのナチュラルな、夫婦漫才のようなやりとり(=生粋の天然キャラのユンホさん、転がせ上手でツッコミの名手であるチャンミンさんの掛け合いは絶品!)には笑わされ、トロッコで会場を巡る「Easy Mind~I just can’t quit myself~OCEAN」のメドレーでも、アドリブの振付で観客を巻き込みつつ楽しませてくれます。
格好よさ、フレンドリーな楽しさ、華やかな仕掛け、じんわりと広がる感動、そして胸を打つ畏怖にも近い熱いもの……。ひとつの公演で、こんなにもたくさんの“感情の玉手箱”を開けてくれるなんて!という驚きが、多くの方がまた会いに行きたいと思う理由とも繋がるのでしょう。