長い手脚を武器に、ダイナミックにキレよくシャープに踊りつつも、ユンホさんの指先や首といった繊細なパーツは驚くほどに柔らか。まるで鋼とシルク、稲妻と流れ星といった異種の動きを共存させています。カリスマ的な決めポーズの直後に、ふっと照れを含んだ少年のような甘い笑顔を見せるチャンミンさんも、いわゆる“ツンとデレ”という真逆の素顔を覗かせます。ギャップは人の心を掴むというけれど、2人のそれは作り物でない“天性”のものが見てとれるだけに、恐ろしいまでに強力です。
チームの全スタッフもギャップの魅力は承知ということなのでしょうか。たとえば衣装の早着替えなどにも心憎さを感じさせます。パッと一瞬ステージから退場し、皇帝風のロイヤルブルーのジャケットを脱ぐだけで、オリエンタルなアクションヒーローのような真っ赤なスタイルへとイメージチェンジ。やんちゃなノースリーブのカラフルライダースから、瞬時にしてシルキーなスーツへの変化も。激しいダンスのために求められる機能性と同時に、スパンコールや刺繍など匠の手仕事をも共存させている、真摯な“ものづくり”の姿勢をもうかがわせてくれます。
流線形を描くようになめらかに、緩急をつけて上下に動くムービングステージの演出。メインステージの象徴的な“双頭の不死鳥”は、曲の世界感をなぞるように大きく動き、壮大な電飾演出として鎮座。オペラやミュージカル、歌舞伎といった舞台芸術に親しんできた方々が、東方神起のライブに惹かれるというのも頷けます。