鏡リュウジ 心の扉を開く タロットと占星術 第8回(全20回) 占いは未来を当てるだけではありません。自らの心の深層を探る──それも役割の一つ。あなたの心の扉を開くために、古の世界観の旅へと鏡リュウジさんが誘います。
前回の記事はこちら>> 牡牛座(4/20~5/20)
神の代理人が導く本当に豊かな人生の歩み方
5 教皇精神的な指導者を表すカード。スピリチュアルな導き。よいアドバイスを得られる暗示も。【キーワード】助言/知恵/伝統/権威無意識の領域に潜む本心に気づくとき
あなたを守る運命のタロットは「教皇」です。厳かな雰囲気を漂わせ、神の代理人として人と神の懸け橋となる教皇は、スピリチュアルな霊的権威を示しています。日本では「精神世界」とも訳されるスピリチュアルですが、それは1960年代のニューエイジ運動に端を発するもので、このカードが象徴する意味とはやや異なります。本来はラテン語の「スピリトゥス」に由来し、息吹や霊、魂といった意味を持ち、敬虔な信仰心を表しているのです。
牡牛座は物質主義で五感が鋭く、快適であることを重んじる星座ですが、「教皇」のカードが意味するものと通底するのは「心が満たされ、幸せであるかどうか」。物質だけあっても意味はなく、自分自身がこよなく愛するもの、心から味わい、喜べるものを求める星座なのです。牡牛座の身体的リアリティと「教皇」の持つ精神性が結びつくことによって、あなたは本当の豊かさを知っていくでしょう。欲しいものを手に入れる喜びと、それを慈しみ、愛し続ける大切さを同じくらい強く感じられるようになるはずです。
2022年後半は、そうした見えない心の声に気づく好機が巡ってきます。幸運の星・木星が無意識の領域を運行し、日頃はなかなか気づかない本音が表に浮かび上がってくるのです。
最初は、ネガティブな感情を抱くことも多く、戸惑いや不安のほうが強いかもしれません。しかし、攻撃的な本音の向こうには、どんな人の心にもある弱さや繊細さが隠れています。表向きの自分を支えるために買い物をしすぎてしまったり、お金やプレゼントで周囲の心をつなぎ止めようとしたりせずとも、この時期のあなたは弱い自分をいたわり、愛するしなやかさを得ることができるでしょう。
物質的には豊かでも心が満たされない。そんなアラートを発する自分の内面に気づいたら、それは幸せに近づいたサイン。生活のレベルにかかわらず、穏やかな笑顔で充足している人の生き方に学び、暮らしを変えてみるといいでしょう。寺院巡りをして、お参りの際に法話を聞いてみても。含蓄があり味わい深い法話を聞いているうちに心が静まり、あなたが本当に求める豊かさがわかってきそうです。
4月20日〜4月30日生まれ「金貨の5」金貨の5が意味するのは「欠乏」。特に大切にしているものを失うことに弱く、傷つきやすいタイプ。「教皇」が示す精神的な導きがあれば、形あるものを手放しても心を強く持っていられそうです。
5月1日〜5月10日生まれ「金貨の6」「教皇」のカードに加え、金貨の6が持つ「支援」の性質も持っているあなた。生きていく中で支えてくれる人と出会い、助けられる運の持ち主です。あなた自身も人を支える存在にな
ればより幸せに。
5月11日〜5月20日生まれ「金貨の7」「小休止」を意味する金貨の7。素晴らしい才能を認められ、活躍したとしても、ふとした瞬間にこれでいいのかなと疑問を持ち、立ち止まりそう。自問自答する中で新しい道を見つけていくでしょう。
世界で最も売れ、タロットの定番ともいえるのが、これらのウエイト=スミス版(ライダー版)。神話的なモチーフが想像力を喚起する。『ライダータロット スタンダード〈U.S〉』より掲載。カード撮影協力/ニチユー、東京タロット美術館 文/鏡リュウジ 浅島尚美〈説話社〉 撮影/本誌・西山 航、大見謝星斗 撮影協力/ニチユー 東京タロット美術館 LECURIO 構成/三宅 暁〈編輯舎〉 星座絵は『19世紀の占星術師』(鏡リュウジ蔵)より
『家庭画報』2022年7月号掲載。
この記事の情報は、掲載号の発売当時のものです。