鏡リュウジ 心の扉を開く タロットと占星術 第14回(全20回) 占いは未来を当てるだけではありません。自らの心の深層を探る──それも役割の一つ。あなたの心の扉を開くために、古の世界観の旅へと鏡リュウジさんが誘います。
前回の記事はこちら>> 蠍座(10/24~11/22)
死神が断ち切るのは「生」ではなく己の執着
13 死神「死」や「終了」を示すカード。新しいサイクルへの移行。過去や何かを手放す必要がある。【キーワード】終焉/再生/復活/清算「終わり」があるから「再生」の尊さがわかる
あなたを守る運命のタロットは「死神」です。蠍座を守護するのがなぜ「死」を司るカードなのか。それは、このカードも蠍座も「死と再生」を表しているから。どんなことにも始まりと終わりがあります。物事が永遠に変わらないことはなく、同時に終わったからといって無に帰するわけでもない。探求心に優れ、愛する人や物と一体化したいという性質を持つ蠍座のあなたなら、それを最もよく理解できるでしょう。
蠍座には生まれ変わり願望があります。自我を捨て、より大きな価値観と深く濃密に一体化することで、新しいあなたになるのです。彼我がゆるやかに溶け合う共感ではなく、同一になりたいと願うところが、蠍座の愛の深さ。恋愛においてはそれが強い束縛になることもあります。
ところが、いったん「これで終わり」と思えば驚くほど潔くすっぱりと断ち切る強さが。まるで大鎌をふるう死神のように、同一だった人や物を切り捨て、二度と思い返すことはないでしょう。蠍座の持ち前の洞察力によって、一つ終わればまた新たに思いを傾けられるものが見つかること、熱情は違う形をとって甦ることを本能的に悟り、自ら幕を下ろすのです。
2022年後半は、幸運の星・木星が「実務」「健康」の位置に入ります。計画性が高まり、規則正しい生活を送ることで、体調も運も高められるでしょう。健康情報に夢中になって、いくつもの健康法を試すようになるかもしれません。自分に合っていれば、同じ方法を継続するのにも向いているときですが、合わない方法を無理に続けると調子が乱れてしまいます。期間を決めて実践し、体に合わないものはやめて新しい方法を取り入れるといいでしょう。やり方を問わず、体にいいことの実践が続けばOKと考えて。
ビジネスでは、周囲のサポート役として活躍できそう。縁の下の力持ちとして、いろいろな人の支えになろうと努めると、自分の仕事だけではできない経験を積んでいけます。面倒な事務手続きなども、サポート役として入れば親切に教えてもらえそう。すぐには役に立たないかもしれませんが、今後キャリアを積み重ねていくうえで生かせる機会がやってくるでしょう。
10月24日〜11月1日生まれ「杯の5」杯の5には「喪失」という意味が。失ったものに目がいきやすく、残っている希望に気づきにくいところがあります。どんなときも「まだ大丈夫」と考えて。「死神」が持つ再生の力を使えるように。
11月2日〜11月12日生まれ「杯の6」杯の6のカードの「逃避」の性質を持つあなた。気前のよさと惜しみない愛情は長所ですが、問題からは目をそむけてしまいがち。不安と葛藤を乗り越え、行動を起こすと状況を好転させられます。
11月13日〜11月22日生まれ「杯の7」杯の7が持つ「夢想」という性質によって願いが空想で終わりやすいタイプ。夢見る力と同じくらい、現実的な思考が重要です。地に足をつけた生活を意識すれば、夢を実現するパワーも上向きに。
世界で最も売れ、タロットの定番ともいえるのが、これらのウエイト=スミス版(ライダー版)。神話的なモチーフが想像力を喚起する。『ライダータロット スタンダード〈U.S〉』より掲載。カード撮影協力/ニチユー、東京タロット美術館 文/鏡リュウジ 浅島尚美〈説話社〉 撮影/本誌・西山 航、大見謝星斗 撮影協力/ニチユー 東京タロット美術館 LECURIO 構成/三宅 暁〈編輯舎〉 星座絵は『19世紀の占星術師』(鏡リュウジ蔵)より
『家庭画報』2022年7月号掲載。
この記事の情報は、掲載号の発売当時のものです。