鏡リュウジ 心の扉を開く タロットと占星術 第16回(全20回) 占いは未来を当てるだけではありません。自らの心の深層を探る──それも役割の一つ。あなたの心の扉を開くために、古の世界観の旅へと鏡リュウジさんが誘います。
前回の記事はこちら>> 山羊座(12/22~1/19)
誰の心にもある暗いシャドウを自覚する
15 悪魔無意識の中にある「影」の部分を表す。周囲に敵がいると思うことも。誘惑に気をつける。【キーワード】誘惑/欲望/執着/暗い感情野性的な力を否定せず自分のエネルギーに
あなたを守る運命のタロットは「悪魔」です。恐ろしげな悪魔がこちらを見てくる様子からは、自分の中にどんなエゴが潜んでいるのかと恐怖を感じてしまうでしょう。悪魔とは、心理学的には自分の心の中にある認めたくない部分だといいます。「シャドウ」と呼ばれる心の影は、日頃ストイックな山羊座が抑圧している、人間的で俗っぽい欲望だといえるでしょう。
実は、山羊座の守護神は牧神パン。山羊の下半身、角と耳を持ち、上半身が人間であるその姿は、野性の荒々しさを思わせます。「悪魔」のカードには、そんな野性の本能を持つパンが描かれ、誘惑の象徴とされているのです。
では、野性的なパワーは人心を惑わすまがまがしい誘惑なのでしょうか。洗練された文化の中で野性は異質なものとして扱われますが、本来それは人間が必ず持っているもの。単純に悪と断じることはできないはずです。時の神クロノスを守護神とし、長い時間をかけて願いの実現を果たす山羊座は、そのことをよく知っているのでしょう。もうダメだ、あきらめよう、そう思ったとき、むくむくと湧き上がる原初のエネルギーこそが人を奮い立たせ、継続につながっていくのだと。
山羊座は「社会」や「成功」を司りますが、「野心」という意味も与えられています。内に潜む荒々しいエネルギーの本当の使い方を知っているのが山羊座なのです。
2022年後半は、幸運の星・木星が「基盤」の位置に。大きな目標を成し遂げるための土台作りができる時です。身近な人の助けに感謝し、言葉でも行動でもお礼を伝えるようにすると、周囲との絆が深まっていくでしょう。夏の間は気安さからわがままが顔を出し、家族の問題が表に出てくる可能性も。遠慮のないやりとりに傷つく場面もありそうですが、そこであきらめないことが大事。日頃、我慢して口に出せない話をオープンにし、本音をぶつけ合ってみて。相手の本音を聞いているうちに、自分も、もっとこうすればよかったという思いが湧いてきそうです。長年、心に沈めていたネガティブな感情が消え、家族間の風通しがぐっとよくなるでしょう。理解し合おうという気持ちが和解のポイント。
12月22日〜12月30日生まれ「金貨の2」山羊座の始まりに生まれたあなたは、金貨の2が示す「交流」の性質も持っています。「悪魔」の誘惑に打ち勝ち、周囲とギブアンドテイクの関係を築いていけそうです。自分を信じ、さらなる発展を。
12月31日〜1月9日生まれ「金貨の3」金貨の3が示す「成果」の性質を持っているあなた。努力家であり、得た成果を認められ、評価されたい気持ちが強いタイプ。周囲に認められると力を得て、さらに頑張ることができるのです。
1月10日〜1月19日生まれ「金貨の4」あなたの中には「守り」を表す金貨の4の性質が。冒険しすぎず、特にビジネスでは手堅く成功を積み重ねていきます。ただ、同じストイックさを周囲にも求めないほうが吉。思いやり深く接して。
世界で最も売れ、タロットの定番ともいえるのが、これらのウエイト=スミス版(ライダー版)。神話的なモチーフが想像力を喚起する。『ライダータロット スタンダード〈U.S〉』より掲載。カード撮影協力/ニチユー、東京タロット美術館 文/鏡リュウジ 浅島尚美〈説話社〉 撮影/本誌・西山 航、大見謝星斗 撮影協力/ニチユー 東京タロット美術館 LECURIO 構成/三宅 暁〈編輯舎〉 星座絵は『19世紀の占星術師』(鏡リュウジ蔵)より
『家庭画報』2022年7月号掲載。
この記事の情報は、掲載号の発売当時のものです。