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細川護熙さんが伝える日本の文化と精神。「ブルネロ クチネリ表参道店」で展示

2022.07.04

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細川護熙さんが伝える日本の文化と精神


細川護熙さん

細川護熙(ほそかわ・もりひろ)さん
1938年東京都生まれ。細川家第18代当主。上智大学法学部卒業。朝日新聞記者を経て、衆参議員、熊本県知事、日本新党代表、第79代内閣総理大臣を歴任。政界引退後に作陶、書、水墨、油絵、漆芸などを手がける。公益財団法人永青文庫理事長。


東京・南青山の「ブルネロ クチネリ表参道店 アートスペース」にて、細川護熙さんの作品が展示されている。

六曲一双屛風 夜桜図

アートスペースに展示された《六曲一双屛風 夜桜図》。

メインとなるのは、初披露となる《六曲一双屛風 夜桜図》。細川家の始祖、頼有公が祀られる建仁寺塔頭 正伝永源院に奉納された襖絵《四季山水図》のうちの『知音』をイメージしたものだという。

「最初は建仁寺の庭の桜を描こうかと思ったのですが、ただ昼間の桜を描いただけでは面白くない。さてどうしようかと思案しながら夕方南禅寺界隈を散歩していたらきれいな夜桜に出合い、“これだ”と思いつきました。しかしお寺の襖に夜の風景を描くなどということは極めて稀で、管長さんも見たことがないとおっしゃる。されど下描きをしてみたら“これはいける”という感触を得、完成させることができました。東山に昇る月の光で桜が浮かび上がる様子を描いています。この襖絵は自分でも気に入っているので、もう少しサイズを小さくして描いてみようと試みたのがこの屛風です」

細川さんは近年、寺院に奉納する襖絵や障壁画の創作を続けている。

「最初は細川頼之公の墓のある地蔵院です。お参りした折に傷んだ襖が目に入り、ご先祖さんにも申し訳ないし、私でよければ、とご住職に申し上げました。それを機にご縁があったり、お世話になったりしたお寺に、お話があれば描かせていただいています」

東と西の融合

薬師寺慈恩殿障壁画《東と西の融合》下絵。上・当時の楽器は東儀秀樹氏に持ち方などの指導を受けたという。下・天女。障壁画正面はこのような鮮やかな黄色。※こちらの展示は2022年5月16日(月)で終了いたしました。

2019年には薬師寺慈恩殿に障壁画《東と西の融合》を奉納。コロナ禍により延期されている一般公開が待たれる。

「“玄奘三蔵が天竺を目指した道行きを”というお題をいただき、敦煌まで取材に行きました。建物の雰囲気からフレスコ画の顔料で描こうと決めましたが、7〜8回塗り重ねないと色が出ない。何しろ全長158メートルありますので全部塗るのが大変でした。完成まで約6年かかりました」

現在は細川勝元公が創建した龍安寺と、細川家中興の祖、幽斎公が祀られる南禅寺塔頭 天授庵へ奉納する作品を制作中だ。

「私なりに、日本の文化を守りたいという気持ちから描かせていただいています。文化とは、そこから生まれる情操や情感、包容力、つまりは教養につながるものだと思います。教養とは、一言でいえば思いやりがあることだと思うんですね。教養のある指導者なら、今度のウクライナみたいなことは起こらなかったでしょう。そうした“教養”が大切な時代ではないかと思っています」

草花と昆虫を描いた漆絵

さまざまな草花と昆虫を描いた漆絵も展示されている。
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