アボカドと焼きなすの塩麹和え、アボカドの醤油焼き わさび漬けを添えて
食物繊維はレタスの5倍、抗酸化作用を持つビタミンEや高血圧予防のカリウム、動脈硬化予防のマグネシウム、悪玉コレステロールを減少させるオレイン酸などが豊富で、おまけに低糖質。その上、おいしいアボカドですが、ちょうど食べ頃のものを手に入れるのは難しいですね。今晩使おうと買いに行ったら堅かったり、柔らかいと思ったら過熟で黒ずんでいたり……。
まずは選ぶ際のポイントからお話ししましょう。ふっくらとして皮の色が黒っぽくなり、へたの部分が少し乾いた感じで浮いてきている状態のもの、手で包み込むと柔らかい弾力があるものを選びます。商品を押してはいけませんが(笑)、押してへこむようなものは熟し過ぎです。
最近は食べ頃が記されたものも販売されていますが、買った後の保存状況で食べ頃にズレが生じる場合もあります。今日の料理やこれまでに紹介した「
夏野菜のしそ包み」、「
揚げアボカドのづけ、アボカドのわさび海苔和え」をおいしく作るなら、数日前から自分で追熟させ、準備万端整えて料理にかかるといいですね。上手に追熟すれば揚げ出し(今月紹介予定)にしても、「
山わさび丼」に加えても大変おいしくなります。今日は日本に輸入されているアボカドのほとんどであるハス種をベースに、追熟の方法を詳しくお教えします。
アボカドは青いうちに収穫され、追熟させることでおいしくなります。果皮が明るい緑色で果肉がまだカチカチのものは少し長めの追熟が必要です。新聞紙などで包んで直射日光が当たらないように気をつけ、20℃前後の涼しい場所に置いて全体が黒っぽくなるまで待ちます。
追熟は13~24℃くらいで進み、果実の状態や環境にもよりますが、完熟まで2~5日ほどかかります。2~3日後に使いたい場合は、果皮が深緑色のものを買って追熟させるとちょうどよいでしょう。
夏場は冷房の効いた部屋に置いておくとよいのですが、冷房を使わない場合は温度の上昇に気をつけ、過熟状態にならないよう果皮の色をこまめにチェックしてください。逆に冷蔵庫のような5℃以下の場所に置いておくと低温障害を起こしてしまいます。
早く熟させたい場合はやや高めの23~25℃で保存しますが、梅雨時のように湿度が高いときは、表面が濡れているとカビが発生する場合があります。果皮が濡れていないか注意して新聞紙などに包んでおきます。
急いで熟成させたい場合は、りんごやバナナ、メロンなどエチレンガスを発生させる果実と一緒にビニール袋に入れておくと、早く進みます。ゆっくりと熟させたい場合は13~15℃くらいの少し低めの温度で時間をかけて追熟します。
上手に熟させたら、ビニール袋に入れて冷蔵庫で保存しますが、そのままにしておくと低温障害を起こして果肉が黒くなります。この連載のバックナンバーも参考にし(笑)、おいしく料理して2〜3日中には食べ切ります。今日も野菜料理を楽しみましょう。
ちょっとしたコツ
・「アボカドと焼きなすの塩麹和え」は、野菜料理をおいしくする7要素中6要素を取り入れている。
◎旨み ◎塩分 ◎甘み ◎油分 ◎食感 ◎香り 刺激
・柔らかく熟れているアボカドを使うこと。アボカドが熟れていなければ、どんなに手を加えてもおいしくはならない。
・「アボカドの醤油焼き わさび漬けを添えて」は、野菜料理をおいしくする7要素中7要素を取り入れている。
◎旨み ◎塩分 ◎甘み ◎油分 ◎食感 ◎香り ◎刺激
・果肉の約20%が脂肪であるアボカドはわさびとの相性がよい。
・アボカドを醤油焼きすると、下味がつく上に香ばしさも加わりおいしくなる。
「アボカドと焼きなすの塩麹和え」(左)
【材料(2〜3人分)】・アボカド(熟れたもの) 1/2個
・焼きなす 1と1/2本
「
焼きなすの醍醐味」参照
・きゅうり 1/2本
・塩麹たれ 35〜40g
作りやすい分量:塩麹(市販品。商品により塩分濃度がかなり違うので加減する)225g、はちみつ25g、オリーブ油25g、シェリービネガー15g
・バジルパープルスプラウト(好みで) 適量
【作り方】1.アボカドは柔らかく熟したものを用意する。アボカドの種に当たるように縦に包丁を1周入れ、ひねって2つに割り、種と皮を除く。片身を縦3つに切り、それぞれを1cmほどの厚さに切る。
2.きゅうりは縦2つに切り、アボカドと同じくらいの大きさの乱切りにする。焼きなすは縦2つに切って2cm幅に切る。
3.塩麹たれを作る。ボウルに塩麹を入れ、はちみつ、オリーブ油、シェリービネガーを加えてよく混ぜる。
4.別のボウルにアボカド、きゅうり、焼きなすを入れて、塩麹たれを加えて和える。器に盛ってバジルパープルスプラウトを添えて供する。
「アボカドの醤油焼き わさび漬けを添えて」(右)
【材料(2〜3人分)】・アボカド(熟れたもの) 1個
・サラダ油 小さじ2
・濃口醤油 小さじ1
・刻み昆布(なければ白板昆布を刻んで使ってもよい) 適量
・揚げ油 適量
・わさび漬け(市販品) 適量
・ベビー葉わさび(好みで) 適量
【作り方】1.アボカドは柔らかく熟したものを用意する。アボカドの種に当たるように縦に包丁を1周入れ、ひねって2つに割り、種と皮を除く。片身をそれぞれ縦3つに切る。
2.揚げ昆布を作る。刻み昆布を160℃の油で揚げ、クッキングペーパーに広げて余分な油を除く。
3.フライパンを火にかけてサラダ油をひく。アボカドを入れて両面を焦げ目がつくくらいに焼く。濃口醤油を加えてアボカド全体に均一にからめて火からおろす。
4.器に盛ってわさび漬けを添え、ベビー葉わさびを散らし、揚げ昆布をのせて供する。
私たちプロの料理人の中には、色や見た目を味より重視する者もいます。薄味信仰?なのか、本当は少し濃いめの味にしたほうがおいしいものでも、それは恥と、濃いめの味つけを避けます。また、味を素材にしっかりと含ませることがプロの料理と、無理に味をつけなくてもおいしい素材に味をつけて台無しにしてしまうこともよくあります。何より、皆さまがおいしいと思う味にしてください。人の味の好みは様々です。ご自身・ご家族の好み、体調に合わせた味に調整しましょう。レシピに示す調味料などの分量は一例に過ぎません。注目していただきたいのは素材の組み合わせと料理手順、どんな調味料を使うのかということです。味の加減は是非お好みで。