藤原さんの記憶に残る仕事「日本を代表するアーティストとして仏クリエイターと共演」。「メイクの真髄」をテーマにシャネルのクリエイター、ドミニク・モンクルトワ氏と共演。「ドラマティックな目もとが迫力ある美しさを生んでいます」。撮影/下村一喜(『25ans』2006年8月号)メイクが生む自信が大人のきれいを解き放つ
アーティストとして、長きにわたって新しい美を提案し、数えきれない功績を残してきた藤原さん。一切の妥協なく、それでいて、軽やかに楽しみながら。そのモチベーションは、どこにあったのでしょうか?
「メイクをし終えると、瞳に“星”が入るの。女優であっても、スーパーモデルであっても、女性なら誰しも。たとえば、撮影だったら、“自信”をもってカメラ前に立ったときに、きらきらと輝きを放つ......、その姿を見るのが、私、大好きなんです。毎回、パソコンのモニター前を占領して映し出された写真にきれい、きれいと興奮して騒ぐものだから、フォトグラファーにはいつも『うるさい』って叱られていました(笑)。それは、“言葉”でも同じ。講演やトークショーなどで、ステージから女性たちを見ていると、次第に身を乗り出し、表情がいきいきと輝きだすのがわかるんです。今は、時代的にままならないけれど、以前は、ステージを降りてできるだけひとりひとりの近くに行き、その輝きを目の当たりにしたいと思っていました。思えば、私は、ただこの瞬間を見たいがために、ひたすらメイクの仕事をしてきたような気がします」
メイクがきれいなのではなく、メイクによって生まれる自信がその人のきれいを解き放つ。それが藤原さんの思う、メイクのパワーに違いありません。
(インタビュー後編に続く)
撮影/富田眞光〈vale.〉 取材・文/松本千登世
『家庭画報』2022年7月号掲載。
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