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今日は父の日。晩酌のお供に、なめらかな口あたりで優しい味わいのとろろ豆腐を

2022.06.19

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プロよりおいしく作れる 野菜料理の“ちょっとしたコツ”365 身近な野菜で、プロよりおいしい野菜料理を作ってみませんか? 銀座の日本料理店「六雁(むつかり)」の店主・榎園豊治(えのきぞの・とよはる)さんに、家庭だからこそ実践できる“ちょっとしたコツ”を毎日教わります。一覧はこちら>>

とろろ豆腐


とろろ豆腐

今日は父の日です。母の日にはカーネーションの花束のように華やかな「にんじん弁当4種」を紹介しましたが、父の日の花は黄色いバラが日本では定番だとか。私はもらったことがないので知りませんでした。

“バラ”からは料理が浮かばず、何か洒落た酒の肴になるようなものでもと考えていたら、形にならない“バラバラ”のものを、固めて形にする料理があることを思い出しました(笑)。和食には○○豆腐と呼ばれる料理があり、知られたところではごま豆腐、玉子豆腐、以前紹介した「擬製豆腐」などです。


今日は初夏にふさわしく、旬のじゅんさいを添えた涼やかなとろろ豆腐をお教えします。昨夏、「長いもそうめん」を紹介しましたが、とろろ豆腐も同様にあっさりとした気の利いた逸品です。とろろは飯のおかずですが、とろろ豆腐にすると酒の肴になります。

豆腐と納豆は名前が入れ違ったのでは?という話を耳にしたことがあると思います。豆腐は豆が腐る、納豆は豆が納まると書きます。パックにおさまった豆腐と豆が発酵してできる納豆、確かに意味が逆のような気もしますね。

納豆は寺の出納事務を行う「納所(なっしょ)」に由来するという説が有力です。納所で豆を壺や桶に納めて貯蔵したから。納所に保管してあった大豆がいつのまにか発酵し、食べてみたらおいしかったからなど。一方、豆腐は中国でも同じ漢字が使われています。日本へは遣唐使によって伝えられました。「腐」には「腐る」という意味だけでなく、「液状のものが寄り集まって固形状になった柔らかいもの」という意味もあるそうです。

液状のとろろが寄り集まって固形状になった柔らかいもの、まさにとろろ豆腐です。「パプリカとろろ、トマトとろろ」で紹介したように、いろんな野菜(パプリカ、トマト、枝豆、とうもろこし、苦瓜、セロリ、焼なす、アスパラガス、ビーツ、カリフラワー)のペーストをとろろ豆腐にしてもおいしいです。今日はお父さんに野菜料理を楽しんでもらいましょう。


ちょっとしたコツ


・「とろろ豆腐」は、野菜料理をおいしくする7要素中5要素を取り入れている。

◎旨み ◎塩分 ◎甘み 油分 ◎食感 ◎香り 刺激

・山いもの皮をむいたりすりおろしたりすると手がかゆくなるのは、皮付近に多く含まれるシュウ酸カルシウムという成分が原因。シュウ酸カルシウムは酸に弱いので、手に酢をつけて洗い流す。熱にも弱いので40℃前後の湯にかゆい部分をつけるとよい。あらかじめ調理用のビニール手袋をつけるのが一番確実。

・すりおろした山いもが褐変するのは、酸化が原因。金属製のおろし金ですりおろすと酸化が促進されるが、おろしたてをすぐに使えば問題はない。

すり鉢でするとおろし金を使った場合と比べて柔らかい口あたりに仕上がる。すり鉢がない場合はなるべく目が細かいおろし金ですりおろす。

寒天液は一見溶けているように見えても、ある程度の時間をかけないと、完全には溶けない。溶け切っていないと食べたときざらっとしたものが口に残る。鍋全体に気泡が沸き立った状態でしっかり煮溶かす。

味をつけた寒天液を、熱いうちにとろろに加える。冷めると均一に混ざらない。

生じゅんさいは食べる直前に茹でる。茹で置きすると色が悪くなり、ゼリー状の部分も減ってしまう。

生じゅんさいを保存するときは、冷蔵庫の野菜室ではなく、冷気の吹き出し口やチルド室で保存する。

瓶詰やパック詰めの水煮じゅんさいを使う場合は、ざるに上げてしばらく水にさらし、ph調整剤などを抜く。酢漬けのものも同様に、水につけて酢を抜いてから使う。

・美味出汁を土佐酢に替えて、わさびを添えてもよい。







「とろろ豆腐」


とろろ豆腐

【材料(6人分)】
・大和いも(おろしたもの) 180g

・出汁 160cc

・粉寒天 2g

・板ゼラチン 4g

・塩 ひとつまみ

・薄口醤油 小さじ2

・薄めの美味出汁
出汁6:濃口醤油1:日本酒1:みりん0.8の割合

・生じゅんさい 適量

・青柚子 適量

【作り方】
1.とろろを作る。大和いもの皮をむき、すり鉢の溝に軽く当て、回しながらすりおろす。急ぐ場合は目の細かいおろし金ですりおろした後、すり鉢に移してすりこ木で空気を含ませるように混ぜるとよい。

2.板ゼラチンはたっぷりの水に30分~1時間つけ、中まで十分に吸水させておく。

3.鍋に出汁を注いで粉寒天を加え、泡立て器でよく混ぜ火にかける。細かな泡が立って沸騰してきたら、吹きこぼれないぎりぎりの火加減にして2分ほど沸かし、寒天をよく煮溶かす。寒天が完全に溶けたら火を止めて塩と薄口醤油を加え、板ゼラチンを入れて溶かす。

4.とろろ豆腐を作る。すり鉢に入れたとろろをすりこ木で混ぜながら、熱い3を少しずつ加える。空気を含むように混ぜていく。「ひと目でわかるプロセス&テクニック」参照。均一に混ざりふんわりとしたら、バットか保存容器に流し込む。粗熱が取れたら冷蔵庫に入れて冷やし固める。

5.生じゅんさいはざるに入れ、ざるごと水につけてさっとすすいで水をきる。沸いた湯にざるごと入れて30秒〜1分茹で、つぼみや茎の赤茶色の部分が鮮やかな緑色に変わったら冷水につける。瓶詰や酢漬けの場合はざるに上げてしばらく水にさらした後、生じゅんさいと同じように処理する。

6.とろろ豆腐をバットから外して、好みの大きさに切り、器に盛る。じゅんさいを添えて薄めの美味出汁をかける。青柚子の皮の部分のみをおろし金で削ってふりかけて供する。

私たちプロの料理人の中には、色や見た目を味より重視する者もいます。薄味信仰?なのか、本当は少し濃いめの味にしたほうがおいしいものでも、それは恥と、濃いめの味つけを避けます。また、味を素材にしっかりと含ませることがプロの料理と、無理に味をつけなくてもおいしい素材に味をつけて台無しにしてしまうこともよくあります。何より、皆さまがおいしいと思う味にしてください。人の味の好みは様々です。ご自身・ご家族の好み、体調に合わせた味に調整しましょう。レシピに示す調味料などの分量は一例に過ぎません。注目していただきたいのは素材の組み合わせと料理手順、どんな調味料を使うのかということです。味の加減は是非お好みで。

六雁(むつかり)

榎園豊治さんプロフィール
銀座並木通りにある日本料理店「六雁」初代料理長であり、この連載の筆者でもある榎園豊治さんは、京都、大阪の料亭・割烹で修業を積み、大津大谷「月心寺」の村瀬明道尼に料理の心を学ぶ。その後、多くの日本料理店で料理長を歴任、平成16年に銀座に「六雁」を立ち上げた。野菜を中心としたコース料理に定評がある。

六雁 むつかり

東京都中央区銀座5-5-19
銀座ポニーグループビル6/7F
電話 03-5568-6266
営業時間 (夜)17時30分~23時 ※土曜日のみ17時~
(営業時間は変更になることもあります。事前に店舗にご確認ください)
URL:http://www.mutsukari.com

六雁 むつかり 料理長、秋山能久(あきやま・よしひさ)さん。連載でご紹介する料理を手がけてくださる、現料理長・秋山能久(あきやま・よしひさ)さん。
文/榎園豊治 撮影/大見謝星斗
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