天野惠子先生のすこやか女性外来 第2回(02) 今回は、女性ホルモン・エストロゲンの急激な減少によって「体に生じる更年期症状」を取り上げます。まず起こりうる症状と自分の不調の程度を知り、対処法・治療法にも目を向けましょう。“我慢せず、積極的に治す習慣”は今後の健康維持にもきっと役に立つはずです。
前回の記事はこちら>> 更年期の症状/体の不調
だるさ、頭痛、冷え、動悸も。更年期の不調は全身に
●前回の記事
10年間我慢するのはもったいない! 更年期の症状には、自分に合う対処法を天野惠子(あまの・けいこ)先生静風荘病院特別顧問、日本性差医学・医療学会理事、NPO法人性差医療情報ネットワーク理事長。1942年生まれ。1967年東京大学医学部卒業。専門は循環器内科。東京大学講師、東京水産大学(現・東京海洋大学)教授を経て、2002年千葉県立東金病院副院長兼千葉県衛生研究所所長。2009年より静風荘病院にて女性外来を開始。自律神経の乱れなどで生じる身体症状
エストロゲンが減少すると全身に症状が現れる理由
更年期症状が広範囲に及ぶのは、全身の生命維持機能を司る自律神経の乱れが原因。卵巣に向けてエストロゲンの分泌指令を出すのは脳の視床下部という場所です。
しかし更年期に卵巣機能が低下すると指令が来てもエストロゲンを分泌できず、視床下部は混乱して指令を乱発。視床下部の周辺にある自律神経の中枢も混乱の影響を受けてバランスが乱れます。
自律神経は体温、心拍数、発汗、血管の収縮・拡張など体全体の生命維持機能を担っているので、全身に症状が現れるのです。
*更年期に生じるメンタルの症状は2022年8月号(7月1日発売)で取り上げる予定です。
*症状が重い、長く続くなど日常生活に支障をきたす場合は専門医に相談しましょう。