【7月の食養生】
◆飲み物にも料理にも「梅肉エキス」
瓶詰めなどで市販されている「梅肉エキス」はそのままでもおいしく、お湯に溶かせば夏の水分補給に最適の飲み物になります。酸味が気になるときははちみつを加えるとよいでしょう。
梅肉エキス大さじ1とオリーブオイル大さじ3、酢大さじ1を混ぜれば「梅ドレッシング」のでき上がり。旬の温野菜にかけていただくと体を冷やさず、夏の健康食として重宝します。
時間はかかりますが、梅肉エキスは、青梅をすりおろして煮詰めるだけで家庭でも簡単に作ることができます。
◆梅+しそ+しょうがで食欲増進
梅としそとしょうがは胃腸の働きを助け食欲を高める最強の組み合わせです。刻んだ梅肉をベースにしそとしょうがのみじん切りを加えてあえるだけ。白いご飯や湯豆腐、うどんにも合い、胃腸に優しく食欲増進効果もある夏の常備菜として重宝します。
胃腸が疲れたときは、梅干しを加えた煮汁で大根を炊いてみてください。梅の酸味が食欲を刺激することでしょう。
【漢方薬局だより】
おなかにも足にも「足三里」へのお灸「おなかを壊した」とげっそりした様子で来られた人におすすめするのは漢方薬とお灸です。
“熱い”との先入観からかお灸を敬遠する人も多いようですが、まずは艾(もぐさ)が肌に直接触れない市販の間接灸を、胃腸の特効穴「足三里」に施すことからはじめてみてはどうでしょうか。ただ、胃酸分泌を促すツボでもあるので、胃酸過多のかたは控えたほうが無難です。
足三里は松尾芭蕉がここにお灸を据えて奥の細道の旅を続けたことでも有名で、足の疲れをとる効果もあります。暑い中歩き回って疲れ、冷たい麦茶を飲みすぎてしまった日も、お灸の習慣があれば体の回復を早めることができます。
〔解説してくださったかた〕横浜薬科大学特任教授・薬学博士 漢方平和堂薬局店主 根本幸夫先生1947年生まれ。1969年東京理科大学薬学部と東洋鍼灸専門学校を同時に卒業後、さらに鍼灸と中国医学を学ぶ。「普段の生活こそが治療の場」をモットーに、漢方平和堂薬局(東京都大田区)では多くの人々の健康相談にのり、養生法をベースに漢方薬処方を行う。(社)日本漢方連盟理事長。前・横浜薬科大学漢方和漢薬調査研究センター長。著書多数。 撮影/本誌・武蔵俊介 イラスト/浜野 史 取材・文/浅原須美
『家庭画報』2022年7月号掲載。
この記事の情報は、掲載号の発売当時のものです。