第二次世界大戦後、途絶えかけていた芭蕉布の伝統技法を復興した平良敏子氏と、氏が主宰する工房が紡いだ作品を一堂に集めた展覧会が開催される。
煮綛(ニーガシー)芭蕉布 裂地「赤地 小鳥 綾中(トゥイグヮー アヤナーカ)」芭蕉布織物工房所蔵 © Atsushi Higa_Photo Studio Tsuha担当学芸員の佐々木智子さんに話を伺った。
「本展では、後継者として敏子氏とともに芭蕉布づくりに挑戦してきた平良美恵子氏の監修のもと、約70点の作品をご紹介します。東京の美術館でこの規模の展覧会が開催されるのは、初めてのことといえるでしょう。技術を復興しただけでなく、古典柄を大胆に発展させた絣柄を次々と生み出した敏子氏の軌跡を辿りながら、芭蕉布の新たな魅力を発見していただくきっかけになればと考えています」
煮綛芭蕉布 着物「紺地 二玉(タタマ) 環掛(クヮンカキー)」公益財団法人日本伝承染織振興会所蔵*前期展示2022年6月7日〜7月3日糸芭蕉の栽培から始まり、糸づくり、染色、織りの工程を、喜如嘉(きじょか)という地域で友部(ドゥシビー)たちが技術と力を合わせてつくり上げることから、「喜如嘉の芭蕉布」の保存会は国の重要無形文化財の保持団体に認定されている。
芭蕉布 帯地「藍コーザー アササ」芭蕉布織物工房所蔵 © Atsushi Higa Photo Studio Tsuha「着尺が仕上がるまでには、糸芭蕉の栽培だけで3年間もの時間と、さらに、すべて人の手による約30もの地道な工程を要します。芭蕉布づくりの技術を守り、継承していくとともに、同じものは二つとない特別な一品を身に着ける喜びを、より多くのかたに知っていただきたいと考えています。本展がその一助となれば幸いです」
平良敏子と友部 © Atsushi Higa Photo Studio Tsuha 芭蕉布 ―人間国宝・平良敏子と喜如嘉の手仕事―
大倉集古館〜2022年7月31日
*途中一部展示替えあり。(後期展示は7月5日〜)
休館日:月曜(7月18日は開館)、7月19日
開館時間:10時〜17時
入館料:一般1300円
TEL:03(5575)5711(代表)
URL:
https://www.shukokan.org 表示価格はすべて税込みです。
構成・文/安藤菜穂子
『家庭画報』2022年7月号掲載。
この記事の情報は、掲載号の発売当時のものです。