お二人が手にのせているのは、パイロットの目となり、声を届ける分身ロボット「OriHime」。パイロットの遠隔操作で頭や腕も動きます。(松岡さん)スーツ、シャツ、ベルト、靴/紳士服コナカ人と出会う、人の役に立つ。「分身ロボットカフェ」
吉藤 寝たきりになると、家族は「何もしなくていい。生きていてくれるだけでいい」といい、これはある意味救いの言葉でもありますが、本人はなかなか納得できないものです。「分身ロボットカフェ」は、体が動かなくても、出会いや発見、「がんばることでお客さんが喜んでくれた!」というような経験を提供するのが目的です。
松岡 生きる喜びを探していく感覚ですか。
吉藤 喜びと納得感ですね。
松岡 人の役に立っているという。
吉藤 はい。みんな初めは自信がなく緊張していますが、先輩からアドバイスを受けながらスキルを向上させ、いい接客ができるようになっていきます。その結果、企業さんから「今度うちのイベントに」などとスカウトされるケースも増えてきました。また、彼らは仕事以外の時間に、オンラインでボードゲームを楽しんだり、英語の勉強会を開いたりしています。年齢も病状も住んでいる場所もバラバラですが、カフェの同僚ということですぐに打ち解け、友達になれる。いいと思いませんか? こういうロールモデルをつくって、人類の孤独を解消することが、私たちのミッションです。
松岡 素晴らしいですね! ただ、正直な感想をいうと、僕は「OriHime」を通してパイロットの人とうまく話せる自信がないんです。すごいなというリスペクトがある一方、「大変だな」という思いから、気を遣いすぎてしまいそうで。普通に会話を楽しめばいいんでしょうけど。
吉藤 失礼かもしれませんが、今の松岡さんの感覚は、男子校の学生が女子に話しかけにくいのと同じ感覚で、慣れていないだけです(笑)。
松岡 男子校!(笑)。なるほど、そうかもしれません。
吉藤 寝たきりというと、腫れものに触るみたいに接しがちですが、気構えずに話してみて、「あ、普通にしゃべれるな」という感覚を得てもらいたいです。失礼かもなどと思わず、病気のことも聞いてみてください。パイロットの人たちは、むしろ関心を持ってくれたことを喜んで答えてくれますよ。
松岡 わかりました!