注目のエピスリー・カンティーヌ(2)
食品のデパート「ラ・グランド・エピスリー・ド・パリ」
16区にできた新しいランドマーク一方11月にオープン以来、16区の高級住宅街の中の楽しい商店街パッシー通りのランドマーク的存在になったのが、ボン・マルシェによる「ラ・グランド・エピスリー・ド・パリ右岸店」です。
以前は、地元民に愛される小型のデパート、フランク・エ・フィスだった建物2800㎡がそのまま、食品だけのデパートになったのです。
ワクワクが止まらないディスプレイと品揃え広いフロアには、これでもかという品揃え。150種のミネラルウオォーターや200種のビール、100種のポテトチップス、350種のチョコレート、350種のジャムなどテーマ別に、壁一面にぎっしり並んだ姿は圧巻です。お土産探しにもぴったり。
熟成をテーマにした地階は、チーズ、ハム、ワイン。「ベジョータ・ベジョータ」のイベリコ豚のハムとワインが楽しめるカウンターもあります。
ポテトチップスの壁 ベジョータ・ベジョータのカウンター地上階は野菜と果物、パン、パティスリー、魚、肉の生鮮食品。1階(日本式の2階)は世界のエピスリー、そして最上階には、この店の食材を使った、広々と明るいレストランがあり、朝食からランチ、ティー、夕食時まで開いているので便利です。
買い物ついでにランチ、パッシー通りに並ぶブティックでのショッピングの合間にお茶、読書しながらワインと軽食、といった具合です。
レストランLa Grande Epicerie de Paris Rive Droite
80 rue de Passy 75016 Paris
+33 (0)1 44 14 38 00
8時半〜21時
定休日 日曜
http://www.lagrandeepicerie.com/decouvrir/rive-droite.htmlパリジャンの食へのこだわりが流行の背景この2店の“エピスリー・カンティーヌ”が続いてオープンした背景には、男女問わずパリジャンの間で、食材にこだわって自分で料理を楽しむことが当たり前のようになっている、という流れがあります。
さらに、地産地消や、全てオーガニックとまでいかなくても、なるべく自然な方法で生産された生鮮食品を手に入れたいという願いが一般的な傾向となったために、既存のスーパーよりも、こだわりのあるお店を選ぶ人が増えています。
一方で、すべての食事を自分で作るほどのストイックな生活を目指しているわけではなく、外食も好き、そして好奇心も強いのがパリジャン。
安心な食材店へ買い物に行ったついでに、その食材を使って調理されたものを気楽に味わうことのできる“エピスリー・カンティーヌ”は、楽しみ方も2倍、流行として実ったといえるでしょう。
“豊かな食”に、デパートのような大手資本が改めて注目し、巨額の投資を行い新しいお店やフロアをオープンしているのは、その流行が今頂点にきているのかな、という気もします。
後編では、旅行者にも行きやすい、地元民に愛される街の小さなエピスリー・カンティーヌを紹介します!
大島 泉/Izumi FILY-OSHIMA
ライター、コーディネーター、通訳、翻訳者
東京生まれ、東京育ち、1989年にパリへ。現在はパリ郊外サンジェルマン・アンレイ暮らし。