藤野幸信さんが選ぶ「季節の贈り花」 今、この花を贈りたい! 「フルール トレモロ」オーナー 藤野幸信さんが“今贈りたい”おすすめの花をセレクト。その花を使った、新作ブーケ&アレンジメントをさまざまなバリエーションでお届けします。
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繊細な花びらのボール状のピンクの花がエキナセア。花心の筒状花だけがこんもりとした形になります。これは‘ピンクボールビュー’という品種。似た花色のバラ‘ローズシノ’にルリタマアザミとアガパンサスのブルーを加え、華やかでエレガントなバースデーの贈り花に。ユニークな花形に加え、魅力的な新色登場でますます注目!
シャクヤクが終わりを迎える6月中旬から出回り始め、7月いっぱいまで豊富な種類を楽しめるのがエキナセアです。ちょうどこの時期に庭でも咲いていますが、その多くは和名「ムラサキバレンギク」でも知られるプルプレアという種類で、スマートな花びら(舌状花)の真ん中に盛り上がる花心があるのが特徴です。ところが最近ではとても個性的な形の品種が誕生し、とくに切り花では多くの新品種が出回っています。
そのほとんどは花びらが少ない、あるいはまったくなく、こんもりと盛り上がった筒状花のみという形状をしています。その花形のなんともユニークでかわいらしいこと!
エキナセアといえばピンクのイメージですが、これがどなたに贈っても喜ばれる好感度の高い花色で、ほかの花とも合わせやすく、よいアクセントになってくれます。贈り花を制作するうえで、とても使い勝手のよい花であることは間違いありません。
そんなエキナセアの花色に、最近では黄色や赤、オレンジ色、黄緑色なども加わり、バリエーションがぐっと増えました。なかでも驚いたのが、ごく淡いサーモンピンクの‘チェリンボ’です。福岡県糸島市の「ニューセンスフラワー吉村」の吉村 学さんが生産されている品種で、いままでのエキナセアにはないパステルカラーというだけでも新鮮なのに、さらに花心に淡い黄緑色が入るというセンスのよさ。こんもりした花形といい、かわいらしさ満載の品種に魅了されてしまいました。
エキナセアには珍しいパステルカラーの‘チェリンボ’。サーモンピンク×黄緑色の組み合わせはもう反則的なかわいらしさです。花屋がどんどん利用して人気が高まると、「こういう品種がウケる」ととらえた花の育種家さんや生産者さんが注目し、ますます品種が増える。エキナセアはいまそのような好循環にある花ではないかと思います。水揚げがよく、夏の暑さにも強くて日持ちがするエキナセアは、性質的にもこの時期の贈り花に適しています。メインでも脇役でも利用できるので、ぜひ贈り花で活躍させてください。
藤野幸信/Yukinobu Fujino
広島駅からほど近い段原の骨董通りにある「fleurs trémolo」(フルール トレモロ)オーナー。広島大学大学院理学研究科生物科学専攻を終了後、花の道に進んだ異色の経歴。感動する花束を多くの人に届けたいという思いから、市場からだけでなく自ら生産者情報を入手してお気に入りの花を集める。何種類もの花を使ったブーケは、エレガントでナチュラル。著書
『大切な人への贈り花』も好評。
https://www.fleurs-tremolo.com 『人気フローリストが教える フラワーアレンジのデザイン&ヒント78 大切な人への贈り花』
誕生日、結婚記念日、ウエディングなど、78例のブーケ&アレンジメントを色別に掲載したオールカラーの大判の単行本。色別花図鑑コラムや全国の生産者データなどお役立ち情報やインデックスも充実。大切な人へ花を贈る際のヒントが満載です。