知る人ぞ知るイタリアワインの魅力。アブルッツォ州のワインが今、とてもおいしい！〔プレゼントあり〕

テヌータ・セコロ・ノーノ　Tenuta Secolo IX

写真右側は黒いという意味のモローネ山、左奥はマイエッラ山塊。夏は夜間もモローネ山を越えて暖気が降りてくることで、相当な高温に。

新たなる美酒の里を目指し、法王に献上していた極上ワインを復活

海と山、両方からの風の影響を受けるのがアブルッツォワインの特徴といわれますが、ワイナリー「テヌータ・セコロ・ノーノ」はグランサッソ山塊の南端の程近く、モローネ山の裾野の盆地状の土地でブドウ栽培を行っているため、海からの影響を受けることがほとんどありません。この土地は古より銘醸ワインの産地として知られ、とりわけ9世紀頃より造られてきたサン・クレメンテ修道院のモスカテッロ種ワインは極上品で、歴代の法王へ献上されてきました。

畑を見下ろす高台にあるワイナリー。2018年にオーナーが変わり、設備も2倍に拡大。ワインショップもあり、近隣の住民が家族連れで訪れます。


ところが1950年代に修道院が閉鎖。ワインはもちろんのこと原料のブドウもほぼ消滅してしまいました。当地で実業家として成功し、引退したのちにテヌータ・セコロ・ノーノを設立した創業者は、子供時代の記憶にあった“幻のワイン”の復活に乗り出します。キエーティ大学の協力を得て、わずかに残っていたブドウから120あまりのクローンを作り、その中の8つのクローンを基に苗を増やしました。その品種は地名を冠してカスティリオーネ・ア・カザウリアのモスカテッロ種と呼ばれ、現在は、芳しい香りと優しい甘みのデザートワインと、トロピカルフルーツの香りが印象的なドライの白ワインが造られています。

復活させたモスカテッロ種で造るデザートワインの「パッシート」（左）と、ドライな白ワインの「フォンテ・グロッタ・モスカート・ビアンコ・セッコ。」

デザートワインに使うブドウ品種は修道院で受け継がれてきた栽培方法にならい、ブドウの房の軸をペンチで挟んで刺激を与え、熟成を早めます。こうすることで天候の影響を受ける時間を減らすことができるのですが、一房一房、手作業で行う手間は相当なもの。しかし、その手間も含めて、伝統の復活だといえるでしょう。

チェラスオーロとはチェリーを意味します。ロゼというともっと淡い色を思い浮かべるかもしれませんが、しっかりとしたチェリーピンクがチェラスオーロの正しい色、とのこと。

テヌータ・セコロ・ノーノではそのほかに、鮮やかなルビー色のロゼ、チェラスオロ・ダブルッツォと長期熟成タイプのモンテプルチアーノ・ダブルッツォなどを手がけていますが、どれも力強く、個性的な味わい。沿岸部と山間部の違いをはっきりと感じさせるワイナリーです。

テヌータ・セコロ・ノーノ　Tenuta Secolo IX
https://tenutasecoloix.it
C.da Vicenna, 5/A Castiglione a Casauria(PE) Italy
TEL +39-085-7998193

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取材協力：
アブルッツォ州ワイン協会
Consorzio Tutela Vini d’Abruzzo
https://www.vinidabruzzo.it