写真/PIXTAヤマグチの法則を解説
社長のセンスが店のセンスそもそも宝石業というものは本質的に家業であって、店の良し悪しというのは、結局その社長の器量次第です。
多くの宝石店の場合、どのようなジュエリーを仕入れるかは、ほとんど社長あるいはその夫人が決めています。
一定の規模の企業であれば、まれに商品担当という人もいますが、彼らであっても社長の意向、好みを横目で見ながら決めています。
どのようなジュエリーを素晴らしいと思うかは、社長のセンス次第ということになり、センスの基本になるのは、その人の経験と知識と感覚次第なのです。ですから社長のレベル=そこに集まる商品のレベルになるのは当然ですよね。
次に、その社長が雇用する社員のレベルが、社長を凌ぐということもまずありません。自分を凌ぐ社員を使うだけの器量のある社長は少ないですし、社員もレベルの低い社長の下にいれば去って行く、まあ、これが普通です。
お客様は黙って去っていく商品を見て、お客様は、それが素晴らしいと思う方と、何じゃこれと口には出さねど内心思う方とに分かれます。素晴らしいと思う方はお店に来続けるでしょうが、何じゃこれと思う方はたいていの場合黙って来なくなります。
この点で、日本のお客様は非常にシビアですよ。面と向かっては何も言いませんが、ダメだと思ったお店は見向きもしなくなる。しかも、「お店にこんな商品じゃダメよ」と、忠告してくれる方はほとんどいません。
そういうお店ほど、なぜその人が来なくなったのかを、まったく考えません。「ああ、あの人も経済的に苦しいのだな」などと呑気なことを言っています。お金がないのじゃなくて、行っても楽しくない、ろくな商品がなくダメだから来ないのに。
かくして、見る目のないお客様(優れた商品が分からず、どうでも良いような商品が大好きな方)だけが寄って来る店ができ上がるという訳です。商品のレベル=お客様のレベルになりましたね。