そのむかし、日本を創った鳥がいた
選・文=川上和人(鳥類学者)
キリリとした白い眉と長い尾羽が特徴的だ。繁殖地はほぼ国内に限られており、日本を代表するセキレイと言える。北海道から九州の河川敷で普通に見られる身近な鳥だ。
『日本書紀』によると、イザナギとイザナミの二柱の神は国産みの方法をセキレイから教わったとされる。国内には他の種類のセキレイもいるが、その鳥はセグロセキレイだったと思いたい。
彼らはよく石にとまって尾羽を上下に振っている。これは外敵に対するメッセージで、「あなたを警戒しています」という意味と考えられている。
人間は警戒対象なので、私が見る時にはいつも尾を振っている。もし振っていない個体に出会えたら、あなたはきっと鳥に心を許されているのだ。
写真/aflo
『家庭画報』2022年8月号掲載。
この記事の情報は、掲載号の発売当時のものです。