365日 花散歩に出かけよう 日々、何気なく歩く道や街で出会う花や花木の名前がわかれば、もっと散歩が楽しくなります。ガーデニングエディターの高梨さゆみさんが、季節の花や花木を毎日紹介。住宅街でも見つかる身近な植物や、人気の園芸品種もピックアップ。栽培のコツも紹介します。
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アマランサスの1種、スギモリケイトウの人気品種‘ベルベットカーテン’。葉を含め全体が赤くなるので、庭でも抜群の存在感を示します。■属科・タイプ:ヒユ科の一年草
■花期:7月〜11月(葉の観賞期間)
■草丈:90〜200cm
個性派揃いで「インスタ映え」します!
日本では○○ケイトウと呼ばれる植物が多くあります。いずれもヒユ科に属しますが、大きく2つのタイプが知られています。
クルメケイトウ、ウモウケイトウ、トサカケイトウ、ノゲイトウなどはヒユ科ケイトウ属(セロシア属)のため、総称してケイトウ、またはセロシアと呼ばれます。
今回ご紹介するのは、ヒユ科ヒユ属(アマランサス属)の植物で、ハゲイトウ、ヒモゲイトウ、スギモリケイトウなどで、これらを総称してアマランサスと呼んでいます。属が異なるのに和名ではケイトウとついている植物が多くてややっこしいのですが、頭の中を整理してすっきりさせておきましょう。
アマランサスには個性的な草姿のものが多く、いずれも7月頃から花壇で見かけますが、9月に入り気温が下がり始めると葉や花穂の色が一段と鮮やかになって存在感が増します。
育てやすく個人邸の外周りでもよく見かけるスギモリケイトウ(学名はアマランサス・クルエンタス)は、茎も花穂も赤くなるのが特徴です。また、最近切り花でも人気の‘ベルベットカーテン’のように、葉も含めすべてが赤くなる品種もあります。
ヒモゲイトウも学名はアマランサス・コウダタス。ひものように長い花穂を垂らして咲く姿はかなりユニークで、見かけるたびに「どうしてこうなった?」とまじまじと見つめてしまいます。
ヒモゲイトウには淡い緑色の花色もあります。優しい花色で、他のどんな花色ともよく合いますが、長いひも状のフォルムで存在感を発揮。そしてもう一つ、カラフルな葉が魅力的なハゲイトウも学名はアマランサス・トリカラー。熱帯アジア原産らしく、赤や黄色、ショッキングピンクなどの葉色はトロピカルな雰囲気を感じさせます。
歩道脇の植栽にハゲイトウがずらり! 花以上にも感じられる華やかさです。花がら摘みの必要がなく、管理がラクなので公共の花壇にもよく利用されます。華やかな色彩、個性的なフォルムなど、アマランサスはいわゆる「インスタ映え」する植物だと思います。散歩の途中で見かけたら、ぜひ写真を撮り、ご友人たちを驚かせてください。
栽培の難易度
いずれのアマランサスも耐暑性が強く、夏の間も元気に成長します。日なたで水はけのよい土壌に植えつけます。多湿の状態が続くと根腐れしやすくなるので、地植えの場合は雨が降らない日が長く続いたときのみたっぷり水やりをします。草丈が高くなると台風などで倒伏しやすいので、支柱を立てておくのがおすすめです。
【難易度】
★ 容易・初心者向け
★★ 標準・初級〜中級者向け
★★★ 少し難しい・中級〜上級者向け
★★★★ 難しい ・上級者向け
★★★★★ 栽培環境が限られる 高梨さゆみ/Sayumi Takanashi
イギリス訪問時にガーデニングの魅力に触れて以来、雑誌や本などで家庭の小さな庭やベランダでも楽しめるガーデニングのノウハウを紹介。日本、イギリスの庭を訪ね歩くほか、植物の生産現場でも取材を重ねる。