旬を愛でる花旅・庭めぐりとは…毎週水曜日は、ガーデニングエディターの高梨さゆみさんが“今が旬”の花の名所情報をお届け。今回は都内にありながら約650本の梅林をもつウメの名所をご紹介します。
旬を愛でる花旅・庭めぐり(22)
小高い丘を覆うようにウメが咲く圧巻の景色 〜東京・羽根木公園
鮮やかな桃色が遠くからでも目を引く八重唐梅(ヤエトウバイ)。中輪で花弁には赤い筋が入り、下向きに咲く姿に風情がある。撮影/横田秀樹閑静な住宅街にある公園がこの季節は一変
関東以西の温暖地では、2月上旬から咲き始めたウメが3月上旬にかけて満開の時期を迎えます。
サクラに劣らぬほど、全国各地に名所があるウメですが、今回は新宿にも渋谷にも程近い立地にありながら、約650本もの梅林をもつ羽根木公園をピックアップしました。
周囲は閑静な住宅地。普段は近隣の住民の憩いの場である公園ですが、ウメが咲くこの時期は雰囲気が一変。あでやかで華やかな雰囲気を漂わせ、多くの花見客を誘います。
さて、住宅地の真ん中にある公園がどうしてウメの名所となったのか……。
羽根木公園は1956年に都立公園として開園後、1965年には世田谷区に移管され区立公園となっています。公園は小高い丘になっていて、広さは約8ヘクタールもあります。その南斜面はかつてはササが生い茂っていたそうですが、1967年、世田谷区議会に当選した55名によって、55本のウメが記念植樹されました。以降、世田谷区の記念の年にウメの植樹が繰り返されること10回ほど。現在では60種以上、約650本という都内でも最大級の規模の梅林になったというわけです。
最初の記念植樹の際に、なぜウメだったのか。そこを知りたい気もしますが、理由はわからず。サクラでもモモでもなく、私が大好きなウメを植樹してくれたことに感謝しています。
羽根木公園では小高い丘を埋め尽くすようにウメが植えられて、花の季節は華やかな雰囲気の中、散策が楽しめる。写真提供/PIXTA